出版社内容情報
新たにオープンする「東京青山美術館」の目玉の一つ、葛飾北斎の肉筆画に贋作疑惑が浮上した。江戸と現代で二重生活を送る元OLの関口優佳=おゆうは、真贋をはっきりさせるため、江戸で直接北斎に尋ねてみることに。しかし、おゆうが調査を始めた途端、絵の売買にかかわった仲買人が死体で発見される。事情を語るわけにいかないおゆうは、同心の伝三郎たちから疑惑を持たれながらも、現代科学と北斎の娘・阿栄の助けを得て、事件を追いかけるが……。
内容説明
新規オープンする美術館の目玉の一つ、葛飾北斎の肉筆画に贋作疑惑が浮上した。江戸と現代で二重生活を送る元OLの関口優佳=おゆうは、真贋をはっきりさせるため、江戸で直接北斎に尋ねてみることに。しかし、調査を始めた途端、絵の売買にかかわった仲買人が死体で発見された。同心の伝三郎たちから疑惑を持たれながらも、おゆうは現代科学と北斎の娘・阿栄の助けを借り、事件を追いかける。
著者等紹介
山本巧次[ヤマモトコウジ]
1960年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒業。第13回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』(宝島社文庫)で2015年デビュー。現在は鉄道会社に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
131
シリーズ4作目。現代の美術館に展示予定の北斎の絵は本物か。江戸時代での調査を依頼された優佳(おゆう)。そこに殺人事件が絡まって…。登場人物が多くて頭がこんがらがってしまったが、今回もタイムトラベルの世界観を楽しめた。着物の下にヒートテック、使い捨てカイロを忍ばせて江戸の町を走り回るおゆうを想像するとなんとも楽しい。2022/03/21
dr2006
89
現代と江戸二つの時代を往来し江戸で起きる難事件を解決していく八丁堀おゆう第四弾。今回は贋作を仄めかす怪文書で揺らいだ(現代の美術館に展示予定の)葛飾北斎の絵の真贋を、北斎存命の時代を舞台に明らかにしていく。絵画完成のタイムパラドクスを背景に真贋を巡って殺人事件も起き、科学分析による証拠とは知られずに江戸の世で説明する難しさの中、真贋と真相が複雑交差する本作はシリーズ一番のミステリーだと思う。おゆうと伝三郎の仲はある種の安定期なのか進展がなく残念だが、それもこの作品の味わいの一つか。面白かった。次も読もう!2019/12/05
aquamarine
85
シリーズ4作目。今回はなんと現代に残る北斎の絵の真贋を宇田川に頼まれて江戸で調査することになります。北斎に聞いてみろって、本人に会えてもそんなわけにもいかないので、不審がられながらもおゆうは奔走します。たとえ真贋がわかったところで、現代の人にそれを納得させるにはどうすれば?…今回もよく考えられていて夢中で楽しみました。最後にあることが自分のせいで起きたのではないかと後悔するおゆうに伝三郎がかけた言葉が印象的です。最近、すこし後悔したことがあり、この言葉に少しだけ救われました。→2019/01/13
papako
74
大江戸科学捜査シリーズ。今度は現代の謎を江戸で調査。北斎の絵の真贋をおゆうが直接本人に問いただす?真贋はすぐに分かったのに、その絵の贋作にまつわる殺人事件が。何故人まで殺されるのか?その辺りの謎解きが面白かった。今までで1番楽しめた。鵜飼とおゆうの先はどうなるのかしら。しかし優佳の宇田川に対する対応がイヤだな。2019/04/06
山本真一郎
54
読了。シリーズの4冊目。タイトルにもある通り、今作においては、今迄で最大の大物である葛飾北斎が登場する。とは言っても本人の印象はそれ程でもなく、寧ろ娘の阿栄こと葛飾応為の方が出番が多かったと思う。それはさて措くとして今作もとても面白かった。江戸の世に科学捜査を持ち込むというユニークな点を除けばミステリとしては完全に王道で、最後にひっくり返される事も含めて醍醐味を十分に満喫出来る。恐らく時代考証的には突っ込み所は多々あるのかもしれないが、個人的には殆ど気にならない。この調子であれば続刊も今からとても楽しみ。2018/03/25