内容説明
日本から約一万二千キロ、アフリカ大陸。国際連合南スーダン派遣団の第五次派遣施設隊内では盗難が相次いでいた。定年間近の自衛官・亀尾准陸尉と部下の杉村陸士長が調査に乗り出すが、さらに不可解な事件が連続して発生する。果たして相次ぐ事件は何を意味するのか。日本から特別派遣されてきたオネエの警務官・植木一等陸尉も調査に加わり、事件の謎に挑む。『このミス』大賞優秀賞受賞作!
著者等紹介
神家正成[カミヤマサナリ]
1969年生まれ。愛知県春日井市出身。陸上自衛隊で勤務後、現在は海外営業の会社員。第13回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞し、2015年に『深山の桜』にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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H!deking
78
神家先生のデビュー作。ざっくり言うと南スーダンに派遣された自衛隊の話。いやこれ最初はちょっと難しいというか、自衛隊ものに今まであまり縁がなかったので、映像が頭に浮かばずにちょっと苦戦したんだけど、植木くん(おネエ)が出てきたあたりから若干ユーモラスなエッセンスが混ざってきて面白かった!亀尾さんがウィーアーザワールドをみんなで歌うに際して、ブルース・スプリングスティーンのパートをやるために声をガラガラにするとことか、細かいエピソードに人間性が出ててこういうの大事だな、って思った。これは映画で観たいなー!502018/05/27
itoko♪
67
このミステリーがすごい大賞優秀賞受賞作。元自衛隊員の著者だけに、スーダンでの隊員たちの緊迫した描写や人物像にリアリティを感じました。ハードなイメージがあって読む前は少し躊躇していたけれど、個性的な登場人物が居たりして面白かったし、『桜』の花や、その名前が印象的に使われていて、情緒もあり良作でした。そして、ラスト付近では涙が溢れました。同じ時期に発売された自衛隊員を描いた作品より評価されても良かったんじゃないかと私は思いました。2017/07/24
チアモン
61
この作品を読みながら新年を迎える事ができ本当に良かった。実際、自衛隊も南スーダンに派遣されていたので、この作品のようなことはおこらなかったと思うが、遠く海外で頑張っている自衛隊の皆さんには頭が上がらない。新年そうそうとても、素晴らしい作品に出合えました。2018/01/01
ずっきん
54
著者さんのオリジナル登録されている、胸をきゅッと掴まれるSSを立て続けに読んで。南スーダンで平和維持活動をする自衛隊施設でおこる窃盗、脅迫事件。その事件解決を主軸に自衛隊員の矜持と苦悩が浮き彫りになり交錯していく。実働部隊員の現場の息づかいが生々しく胸を締め付けられた。途中の本格っぽい謎解きは要らないと思ったしアラはあるけれど、著者の真骨頂は熱くて分厚い人間の心情描写!都合良すぎでしょと思いつつ後半の怒濤の展開や、なによりも情景が浮かぶ終章にはグッときた。『深山の桜』素晴らしいタイトルだと思う。→2018/04/27
Koning
48
自衛隊で定年間近の准尉な曹長(しかも最先任ときたもんだ)と陸士長がよりによって南スーダン派遣のPKO部隊の中で探偵やるって話なんだけど、南スーダンですよ。こないだ駆けつけ警護ができますになったけど、まぁなんでRoEもないのに行かせるかね?って矛盾がじゃんじゃか吹き出す現場。観念的平和主義で騒いでみたり逆に無茶な無敵皇軍の末裔なメンタルな奴らとか日本で騒いでる連中とは関係なく今も現地で大変な仕事してる皆さんが。ってのを考えざるを得ないわけで2016/12/06