宝島社文庫
検事の本懐

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  • サイズ 文庫判/ページ数 465p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784800202895
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した連作短編集。県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、連続放火事件に隠された真相を歪める「樹を見る」。東京地検特捜部を舞台に“検察の正義”と“己の信義”の狭間でもがく「拳を握る」。横領弁護士の汚名を着てまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」など、全五話。第25回山本周五郎賞ノミネート作品。

著者等紹介

柚月裕子[ユズキユウコ]
1968年、岩手県生まれ。第7回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、『臨床真理』にて2009年デビュー。『検事の本懐』で2012年、第25回山本周五郎賞にノミネートされる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ウッディ

464
正義の検事、佐方貞人。この短編集でも、彼の格好良さが際立ちます。特に、累犯者「ハエタツ」が起こした万引き事件を描いた「罪を押す」は、痛快さを感じるとともに、どんな立場の相手にも、一人の人間として接する事の大切さを学びました。佐方検事の心中が語られる事がないにも関わらず、彼の仕事には、正義と優しさが溢れ、周囲の人は皆、彼に魅せられていく、勿論自分もその一人です。惜しむらくは、このシリーズを逆順で読んでしまった事。「本懐を知る」は、ネタバレしてしまった。未読の方は、順序間違えないように。面白かったです。 2018/03/18

ミカママ

453
前作の感想で「主人公のキャラが見えにくい」と書いた私をあざ笑うかのような、今作品。いやぁよかったです。主人公の時系列的にはこちらの方が先。んー、こちらを先に読みたかったな。ミステリーの王道・骨太さの中に垣間見える、女性作家さんらしい繊細さ。柚月さん、近いうちにもっと大きな文学賞を取るかもしれませんね。さて、一気に次へ。2016/08/20

サム・ミイラ

444
これは面白い。本当に素晴らしい作品。最後の証人より数段上。短編集ですがいずれも検事時代の佐方の人物像を実に魅力的に描いています。年のせいかすこぶる涙脆くなったけれど中でも恩を返すと罪を押すには泣かされました。恩を返すは青春物の趣もある秀作でどこか13階段を思わせる物語です。一方の罪を押すは弘兼憲史氏の名作コミック人間交差点を彷彿させるヒューマンドラマとなっています。なんか古い話ですみません。ついでに一話目などはもう横山秀夫と見間違うほど!いやあ凄い作家が現れたもんです(笑)2014/03/24

zero1

434
【嘘の先には嘘しかない。罪の先には罪しかない】。犯罪には理由と背景がある。それを表に出すのが検察官の役目。佐方シリーズ第二弾。検事だった彼は放火や万引き事件で真相を追及。「恩を返す」は高校時代の佐方が登場。「拳を握る」は東京地検特捜部で応援に呼ばれた佐方が検察魂を貫く。「本懐を知る」は弁護士だった佐方の父を追う週刊誌記者。何故、優秀な弁護士が横領したのか?柚月は説明が多く粗いが作家としての能力は間違いなく高い。技巧だけではなく、人を描けている点で評価したい一冊。「検事の使命」に続く。2019/11/25

ちょこまーぶる

409
読後に読んでよかったなぁ~と思える一冊でした。5編の短編なんですが、佐方検事という魅力的な検事が誕生する背景も知ることができたし、人として自分がとった正しい言動は、組織のルールから外れていようが、理解されず人にどう思われようが曲げてはいけないという力強いアピールを投げかけられた思いがしました。自分自身に「まだまだだなぁ~」と小声でつぶやいてしまう場面もありましたよ。5編の中でも、第4話の政治家がらみの特捜の組織・上層部との対立の話が一番好みでした。で、もう一冊積んでいるから後日読むのが楽しみです。2016/09/04

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