新風舎文庫
凶犯

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  • サイズ 文庫判/ページ数 378p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784797494273
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0193

内容説明

中国内陸部の国有林に派遣された誇り高き傷痍軍人・李狗子。国有林監視の仕事をまっとうしようとしていた彼を待ちうけていたものは、金力の前にひれ伏す腐敗した権力と状況に流されるだけの「庶民」だった。対立は深まり、ついには衝撃的な大事件へと発展する。次々と明らかになるあまりにも残虐で戦慄すべき事件の全貌。人間・狗子はどう生きたのか。人々は何を考えたのか…。実際に起きた事件をモチーフに現代中国の社会問題を描き、その背後にひそむ人間精神の深淵をえぐる筆致は、目を見張るほどリアルで鮮烈だ。興奮と感動のるつぼに叩き込まれる現代中国の衝撃作!中国の社会派人気作家・張平、待望の日本初上陸作品。

著者等紹介

張平[ジャンピィン]
1954年生まれ。中国を代表する中堅実力派作家。中国作家協会副主席、山西省作家協会主席、中国全国政治協商会議委員。84年『姉さん』で全国優秀短編小説賞を受賞。97年『選択』、優秀な長編文学に授与される茅盾文学賞を受賞。2000年『十面埋伏』はベストセラー大賞、金盾文学賞、中国図書賞の三冠を得る。現代中国の抱える深刻な政治・社会問題に深く切り込むその作品は常に反響を巻き起こしている

荒岡啓子[アラオカケイコ]
1951年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業、大阪外国語大学大学院言語社会研究科博士前期課程修了。(株)ダイエー海外部、駿台外語専門学校中国語専任講師を経て、現在、同志社大学、仏教大学などで中国語教育に携わる
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ehirano1

89
「打ちのめされるようなすごい本(米原万里)」で紹介されていた本です。「凄い!」の一言に尽きるのですが、この事件は社会、家庭、歴史、経済、倫理(要は世の中?)の縮図でもあるように思いました。2018/06/02

ehirano1

72
「足るを知れば常に楽し(p36)」。これは狗子の「落命した戦友たちを想えば、戦場で片足を失うも死ななかっただけ好としよう、それで良い」という考え。よく聞く格言もこれを活かすには何らかの背景が必要であることが分かりました。2018/08/05

キムチ27

60
文庫本 赤の装丁は同じだが、金色の文字。心に虫の蠢きを残し 終えた読感。中国作品は翻訳とは言え、感情表現が心に突き刺さり、読み易い。ゴウズのあがき、懊悩、ラストまでの数日の人間的限界のもがきが怒涛の如く圧し狂う壮絶感。圧巻というべきそれは自然、いやそれ以上にどす黒く押しつぶしてくる社会、人間の圧。国有森林保護監視委員という公の栄えある職務についた果てが「村社会」匙加減を変えてみれば日本にもありそうな。中間管理職の右顧左眄。教訓、心情、信頼、して正義って何?広大すぎる中国 民族と人間の数からすれば、悲劇も2022/07/26

ehirano1

59
「村長を下りれば、後は関係ないとでもいうのか?(p287)」。しくったら辞めれば良いというもんじゃないですよね。責任取って辞める前に最大限のことをやる、というのが一般的かもしれませんが、最大限のことをやって立て直す、ということがむしろ大切なのではないかと思います。「失敗したら辞めなければならない」というのは失敗を恐れて何もしないリーダー(自己保身しか顧みない)を産み、この方が失敗をするリーダーよりもはるかに危険ではないかと思うのですが・・・・・。2019/05/05

ざるこ

54
中国の山深い寒村で起こった射殺事件。「事件発生前」「事件発生後」と交互に章立て。リンチに遭い深手を負った李狗子、李狗子が発砲した場所の現場検証から物語は始まる。狗子が殺人に至った経緯を追うのだが、とにかく怖いほどリアル。国有林監視の仕事で知る森林盗伐、それに関わる村民と幹部たち。次々と狗子を襲う同じ人間とは思えない所業に怒りで戦慄きが止まらない。金と暴力に屈した村民たちの行動が一番悲しく胸に刺さる。殺人は報復ではない。腐敗しきった状況の中、誇り高い狗子の信念がずんと響いてくる。「凶犯」とは誰のことなのか?2021/10/09

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