内容説明
化けて出ずにはいられない。化けて出るしか手段がない。英米の巨匠名匠が描く、女たちの幽霊物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
43
19~20世紀の作品六作が集められている幽霊譚集。ダフネ・デュ・モーリア「林檎の木」はモーリア作品集で既読ながら何度読んでもうまさに唸る。愚痴っぽくて陰気な妻が亡くなりせいせいしている夫。庭の林檎の古木がなんとはなしに妻を思わせるので切ってしまいたいが、庭師は賛成しない。徐々に明らかになる夫側からでは無い妻像。林檎の木は復讐する。イーディス・ウォートン「魅入られて」は人里離れて暮らす夫婦の夫が既に故人となった昔の恋人に魅入られるという、ヴァンパイアを思わせるゴシック譚。妻のキャラが立っている!2022/05/24
内島菫
26
私がこれまで読んだ怪奇幻想もののアンソロジーの中で、覚えている限りではあるが、最も面白かったのではないか。ダフネ・デュ・モーリア「林檎の木」:そんなに辛いならそこまで必死に家事をしなくてもいいのにという妻の様子や、彼女の抑圧されつつもあてつけがましさが滲む態度から、私の亡き母を連想した。私の父はまめな性分で休日には必ず母の家事を手伝い、退職後も二人で家のことは協力していたはずだが、母は本作の妻のように強迫観念的に家のことをして常に苛立ち疲れているように見受けられた。2021/05/24
timeturner
5
怪異現象より心的要因に重点が置かれた作品が多い。断トツに怖いのはダフネ・デュ・モーリアの「林檎の木」。死んだ妻の幻に取り憑かれた男が狂気を深めていく描写が鬼気迫る。古い時代の作品が多い中でアリスン・ルーリーの「イルゼの家」の新しさも目立っている。2022/06/28
アルクシ・ガイ
4
粒ぞろい。2020/02/20
竜王五代の人
3
幽霊そのものというより、幽霊が「化けて出て」きておかしくない状況をうまく描いた良作ばかりな選集。つまり、怖いのはやっぱり人。2021/04/17