内容説明
医療に対する、世間一般のイメージとは異なる病院の“闇”―。未放映だった「病院乗っ取り」の実態と、坂田記念ジャーナリズム賞を受賞した番組の成果も盛り込みながら、1年にわたる取材で明らかになった病院のアンダーグラウンドの現場から報告する。診療報酬制度の限界を直視した渾身のルポルタージュ。
目次
第1章 闇の病院―医者が手を染めた貧困ビジネス
第2章 行路病院ネットワーク―病院間でトレードされる生活保護患者
第3章 コトリバス―反社会的勢力の餌食になる病院と“患者”
第4章 乗っ取られる病院―経営を裏で支配する闇のM&A人脈
第5章 病院ビジネスのグレーゾーン―儲けの手口を指南する医療コンサルタントの暗躍
第6章 食い物にされる老人介護―医療の外にも広がるグレーゾーンの“錬金術”
第7章 医療崩壊に処方箋はあるか?―不正な診療、不適切な診療報酬請求を防ぐには
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tofuscience
1
まずい言い方かもしれないが、面白い。ビジネス、つまり、お金が関わる活動のすべては、私がどのように「あるべきあり方」を求めても、何よりもお金を土台にして考えなくてはいけない。これは医療についても同じで、すべての医療行為のベースにお金をおかなくてはいけない。こうした緩やかな拝金主義を、いつの間にか持っていたことに気づかされた。お金がなければ恐ろしい世の中で、お金を大切に、しかし、お金に縛られず、”逸脱”しないでいるにはどうしたらいいのだろうか。2012/02/06
yearning for peace
1
診療報酬制度の弊害により「制度ビジネス」が横行している。NHK取材班が地道な取材を重ね、「行路病院ネットワーク」「コトリバス」「病院の乗っ取り」「暗躍する病院コンサルタント」「寝たきり高齢者専用アパート」など、レセプトやバイブルの盲点を見抜いたあの手この手の商売を紹介している。遠い将来と思っていたら、いつの間にか自分たちが当事者になっている可能性もあるわけで、まずは国民一人一人がこうした実態を認識することから始める必要があるのでしょう。2010/10/22
とと
0
噂には聞いていたが、こんな裏社会が実現することに驚いた。なぜ今でさえ取り締まりがされていないのか、我々の税金がこんなにも裏社会に使われていたのかと思うと、ため息がでる。 早く改善してほしい。2015/02/26
讃壽鐵朗
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生活保護者を餌食にするのと、高齢者専用賃貸住宅を使ったあくどい医療実態に驚いた。今やここまでしなくては、特に中小規模病院は存続できないのかと。 しかし、これは当然ながら現在の医療状況のほんの一部のことで、どんな世界にも悪はあることを示したに過ぎないとも言える。 一方、医療は利益を追求することは目的ではなく、患者を救うことだとして、日夜身を粉にして取り組んでいる人々がいることは確かなのだ。それを認識しない人にとっては、益々医療界は悪の権化のようになり、病院を受診、入院することすら恐ろしいことになっては困る。2013/12/07
おね様
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不正の額が半端ない。2013/03/31