内容説明
毒・棘・邪心・嘲笑・揶揄・嫉妬・淫猥・交歓・吸血・生贄…悪夢のような20篇。『大人のための残酷童話』で人生の残酷さや馬鹿馬鹿しさや滑稽さを辛辣に書いて多くの読者を堪能させた倉橋由美子が、ほぼ同時期に書いていた怪奇小説集。知的な恐怖と乾いた笑いの詰まった短篇それぞれが、見事な仕掛け、隙のない文章、堅牢なエスプリ、そして通奏低音としてのエロスに満ち、読む悦びを満喫させてくれる。20の夜の愉しみとなる、純文学の香り高い極上エンターテインメント。
著者等紹介
倉橋由美子[クラハシユミコ]
1935年高知県生まれ。大学在学中に『パルタイ』で華々しくデビュー。以後、文壇から遠いところで最も理知的な作品を書き続けたが、2005年6月に他界(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鬼灯の金魚草
19
言葉が美しく、乱交でさえ美しいものに見えてくる。「歓を尽くす」と書くとエロが高尚に昇華してしまう。まさに大人のための怪奇である。後から思い出すとじわじわ怖くなる。素敵な一冊でした。2017/01/26
Ai
6
耽美でグロテスクでユーモアがあり、素晴らしい。すてきな読書時間を過ごせました。2022/04/14
YumiMori
4
淫靡な、じっとりとした、漆黒の、とてもとても意地悪な大人の世界。 耽美な世界にねっとりと浸からせせていただきました。 本当のお金持ちの遊びを覗いてしまった気分2015/08/04
空猫
4
淡々と語られていて、読了中よりも、読後ゾクリとするお話ばかりです。奇妙で残酷でどこかエロティックで…タイトル通り[大人のための]お話です。2014/11/16
なめこ
3
この短さですっきりまとまっていてちゃんと怖い。怖い!より上手い!と叫んでしまう。蟹型の(かは分からないけど)癌と免疫細胞の会話が聞こえてくる話がいちばん気持ち悪かった。夕顔もなかなか。2016/12/24