内容説明
現在、私たちは高度産業社会の日常のなかで眼にみえない〈風圧〉を受けながら暮らしている。本書は、世界に猛威をふるう〈死〉の思想に対し、生活思想の活路を明らかにすべく、己れの日常的な皮膚感覚に根ざした感受性を武器に、『となりのトトロ』の作家宮崎駿のアニメ作品が象徴する本質を読み解く、ひとりの無名の生活人のたたかいの産物である。
目次
序 なぜ、いま宮崎アニメなのか
第1部 〈死〉の風景を超えて(アニメ『火垂るの墓』と現在世界の〈死臭〉;〈癒し〉のまなざし;SF的な〈喩〉とはなにか;〈生身〉の物語の蘇生;王蟲の変容)
第2部 〈風化〉の圧力を超えて(2つの『魔女の宅急便』;病理の鏡としての『おもひでぽろぽろ』)