内容説明
60年代末から90年代の現在に至るまで、坂本一成の歩みは他のどの建築家からも孤立し、また独自である。建築の造形的表現を可能な限り沈潜させ、しかもいわゆる自然派に陥ることがない。建築家が建築を考えるその見えない形が、「抽象化された普通の家」から浮上し、その思考は不可避的に一個の建築にとどまることなく、社会へと向かう。だが、この精緻な思考の建築的表われは、多木浩二の指摘がなければ、坂本自身にとってさえ存在しなかったといえるかも知れない。建築を思考することの意味を、容赦なく絶望と希望をもって描き出す、これは今までに語られることのなかった対話・建築の思考である。
目次
第一日 建築としての独立住宅
第二日 都市と建築の政治学
第三日 崩壊する共同体での集合住宅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
引用
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9割面白かった、幕張のしんどさあるいは構成の露骨さは分かる日が来るとも思えない、身も蓋もないが世代が離れすぎているのではないかと思う2021/03/31
TAKAMI
0
坂本一成氏の作品は全然知らなくて、氏の思考に触れるとっかかりとして対談本である本書を読んだのだけど、作品を知らない分全然理解できなかった。言葉そのものの意味がわからないわけではないのだけど、咀嚼できた気は全然しなかった。作品とその社会的位置づけを見てから読み直さないといけないように思った。それにしても伊東・長谷川世代の豪華さがすごい。2015/03/11