内容説明
本書は「坐ったり腰かけたり」という起居様式から、大正、昭和、平成へと大きく変化してきた日本人の住生活史を描いた労作である。それは単に、畳と板張り、座ぶとん・こたつと椅子・テーブルの「和洋二重生活」から「和洋混合生活」への流れをたどるだけの作業ではない。衣食住の洋風化から再びユカでくつろぐといった回帰現象のうちに、日本人が求めつづけてきた身体的精神的モメントまでを探り出すにいたる。
目次
第1章 イス式生活を理想に掲げて―大正時代の啓蒙
第2章 「ユカ坐容認」への軌跡―昭和初期の変転
第3章 再び、イス式生活の模索―戦後復興の中で
第4章 豊かさを求めて「イス坐指向」―高度成長期の足跡
第5章 くつろぎを求めて「ユカ坐」回帰―低成長期の展開
第6章 海外におけるイス式生活―住文化の相違
第7章 日本住宅のインテリア史―和洋混交の軌跡
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
11
床に座るか、椅子に座るかといふ近代日本の住まい方の課題を建築・生活文化の両面から辿る。欧米化への志向性、生活意識の要素と、日本家屋や風土からくる習慣性・実用性・身体意識の両者の要素の複雑な組合せが、折衷的な現代住宅のリビングを生み出すなど、個々の指摘が興味深い。2021/03/29
ねみ
0
大正時代から現在までの日本のユカ座イス座の変遷が、歴史的背景や住まい/服装の変化、経済、政策等の影響からどのように移り変わってきたのかがまとめられている。政府がイス座を推奨した資料や暮らしの手帖の初刊画像等、面白い参考画像がたくさん載っている。…僕の部屋は6畳の畳の上にデスクとデスクチェア、電子ピアノと椅子、こたつと簡易クッションが置かれている。和洋混交でカオスであり解消したいのだが本著を読んでこれもまた一つの変遷期の姿で現在の日本の形なんだろうなと思うようになった(解消はしない)2013/12/17
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