内容説明
1970年(昭和45)、日本復帰を2年後にひかえた沖縄石垣島。イリオモテヤマネコの研究をこころざすひとりの青年が理科の代用教員として島の小さな中学校に赴任した。野性あふれる海や森を舞台に、教え子となった13人の子どもたちの1年間の成長を描きながら、南の島に生きる珍しい動物や植物の生態を紹介する。
目次
1 春、うりずんの頃
2 夏、灼熱の太陽の季節
3 秋、新北風の吹く頃
4 冬、北東の季節風と降り続く雨
5 春、再び
著者等紹介
安間繁樹[ヤスマシゲキ]
1944年、中国内蒙古に生まれる。早稲田大学法学部および教育学部理学科卒業。79年、東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。農学博士(哺乳動物生態学専攻)。若い頃から琉球列島に関心を持ち、特にイリオモテヤマネコの研究で成果をあげた。85年以来、ボルネオ島の調査、および国際協力機構(JICA)海外派遣専門家として研究指導に携わっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
354
残念ながら、タイトルが内容とは乖離している。著者の専門は哺乳動物生態学。初読だが、イリオモテヤマネコの研究で成果を上げた人であるようだ。本書は、著者が大学を卒業した後、石垣島の崎枝中学校の理科の代用教員として過ごした1年間を主に綴ったもの。それはそれに徹していてくれればよかったのだが、ここでもまた島でのその他の思い出に話が逸れがちで、そのために幾分統一感を欠くことになってしまった。そうしたことを割り引いて評価するならば、島でのあれこれは十分に興味深い。後1,2冊は読んでみようかと思う。2021/10/10
takao
2
ふむ2023/06/23
natukoba
2
若い時の1年間の石垣島での教師生活、こんな経験ができるのは幸せなことだと。生徒も先生も。2017/06/17
えみかす
1
1970年代、本土復帰直前の石垣島、屋良部半島崎枝に教員として赴任した筆者の青春の思い出の本。タイトルに「自然誌」とあるが、動植物の記述は多くない。筆者と生徒たち、島民との交流が中心に書かれている。最初は期待と違う本だと思っていたが、この生徒や島民との話がとてもよく、なんだかあったかい気持ちになった。2024/04/17
猿谷透
1
1970年初頭に本土から石垣島の中学校に赴任した教師が記した石垣島の風土、文化、人々。ちょうど沖縄諸島の本土返還がった1972年をまたいで過ごしており、当時の記録として非常に貴重である。たとえばそれまではアメリカと同じ右側通行の車道が本土返還後は左側通行に変わったとか、劇的な変化を目の当たりにしていておもしろい。生物学を専攻していた著者ゆえに石垣島の豊富な生き物に接し、それを観察する目は確かである。今でも目にすることの出来る生き物ばかりなので、石垣島へ旅するなら通読しておくことをお勧めします。2015/05/14