内容説明
日本の文化の中で「人を信じるということ」はどのように位置づけられてきたのか。歌舞伎の「勧進帳」にみる「ゆだねる」関係、日常生活に根ずく「おまかせ」のシステム。その「人を信じる」仕組みは、村社会という共同体の原理を基盤に形作られてきた。ところが、近代化にともない、人々は共同体から切り離され、「信じること」は容易でなくなってしまった。漱石が『こころ』で描いた裏切りの悲劇。「空」と「無」に救いを見いだす知識人、新興宗教に絆を求める人々。今、若者たちは共同体を拒否しながら、居場所を求めて漂い続ける。もう一度、「人を信じるということ」を取り戻すためには、何が必要なのか。
目次
序章 信じるということの二つの意味
第1章 歌舞伎「勧進帳」の信頼の構造
第2章 「おまかせ」というシステム
第3章 村社会での原理
第4章 漱石『こころ』の悲劇
第5章 「空」に救いを見いだす
第6章 「選択」を強いる宗教
第7章 信じることが可能な社会
第8章 人を信じるということ
著者等紹介
島田裕巳[シマダヒロミ]
1953年、東京生まれ。東京大学人文科学研究科博士課程修了。元日本女子大学教授。専門の宗教学を軸に幅広い角度から現代日本社会に対する評論活動を続けている。小説、戯曲も手がける
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感想・レビュー
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13km
1
飲食店などサービス業一般におまかせのシステムがあるのは日本人は自分で選択をして後悔したり、自分の行動に責任を持つのが嫌いなのではないかと考えた。それは政治にも当てはまるようにも思う。日本人の多くの人が政治に無関心なのは政治家たちには良い日本にしてもらい国民に良い暮らしを与えてくれるようにおまかせしているお客様の立ち場の考えだからではないのかとも思った。日本人は民主主義に慣れていないように感じる。2012/08/05
帝
0
んー。漱石の『こころ』についてのところには期待していたんですが……、ちょっと期待はずれでした2010/07/28