内容説明
日本の「現代美術」が急速に変貌している。「現代美術」という枠組をリセットする試みとして水戸芸術館で開催された「日本ゼロ年」をひとつのきっかけとして、村上隆の提唱するコンセプト「スーパーフラット」、美術界のイベントとしては空前の入場者数を記録した横浜トリエンナーレ、奈良美智ブームなどの現象がその変貌を示唆し、さらに9・11の同時多発テロがアートの世界を根底からゆさぶる。いまアートの「可能性の中心」はどこにあるのか?水戸(1999年)を起点にし、同時多発テロのニューヨーク(2001年)を経験した批評的想像力は、ヒロシマ・ナガサキ(1945年)へと歴史の流れを遡り、いまだ封印されている「日本・現代・美術」の〈爆心地〉ともいうべき「戦争画」へと向かう。「グラウンド・ゼロ」をキーワードに、マンガ、アニメ、格闘技などの世界を巻き込みながら展開されるスリリングな同時代美術評論。
目次
1999(日本のポップを黒く塗れ;「現代美術」をめぐって)
2000(日本ゼロ年;日本ゼロ年パート2―東浩紀、竹熊健太郎、福田和也に聞く;最終回―ガチンコ0年;「新たな分裂」に向けて)
2001(勝負論とその彼岸;スーパーフラットを超えて;動物かオタクか超・平面的か平面の超克か;奈良美智のぶきみ=かわいい我楽苦多世界;「爆心地」の芸術―「ゼロ」から「ゼロ」へ)
著者等紹介
椹木野衣[サワラギノイ]
美術評論家。1962年秩父市生まれ。同志社大学文学部文化学科を卒業後、東京を拠点に批評活動を始める。現在、多摩美術大学美術学部助教授
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