少年キム

少年キム

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  • サイズ A5判/ページ数 313p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784794963093
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ノーベル賞作家キプリングの最高傑作!あるときは裏町のヒンドゥー小僧。あるときはエリートの英国少年。あるときは高徳のラマ僧の弟子―。あの子は、だれだ?前世紀末インド、英露のスパイ合戦を背景に、東西の英知が交錯する壮大な物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

20
インドで土地の人々と暮らす白人少年キムが聖河を探すラマの弟子として旅をする話なのですが、さらにキムが様々な縁によって英露が植民地での覇権を争うグレート・ゲームに関わることにもなりと、楽しい一冊です。何といっても主人公のキムが魅力的です。彼は要領がよくて機転が利き、人を騙すことを厭わないところもある少年です。途中白人としての教育を受けたりもするのですが、自分の大切なもの、価値観を失わない強い意志を持っています。キムがラマと心を通わせ、様々な人との出会いや経験を通して成長してゆく姿にすごく引きつけられました。2016/03/31

seacalf

15
さすがの傑作。冴えたキプリングの筆のおかげで19世紀末のインドの雑踏に放り込まれたかのような体験が出来る。ラマ曰く『精霊のように思える時もあれば、小鬼のように思える時もある 』という主人公。したたかで弁舌爽やかなキムの八面六臂の活躍には、半ば呆れ苦笑を滲ませつつも、胸のすく思い。自分のルーツである英国式の教育や鯱張った向上心よりも、インドを愛し、自由を愛するキムの奔放さがまぶしい。ややもすれば、殺伐とした展開に陥りそうになるのを救ってくれるのが、ラマとの師弟愛。ほほえましい二人のやりとりが爽やかさを呼ぶ。2017/01/22

ヴェルナーの日記

10
ピカレスク小説の傑作!!19世紀の末、あらゆる人種と、あらゆる宗教が存在し、カースト制度というヒエラルギー(階層社会)が渦巻く、混沌としたインドで主人公キムと仏教僧ラマとの出会い聖河探索の冒険の旅を描いた物語である。時はパックス・ブリタニカ(イギリス帝政植民地時代)であり、一見、コロニアル主義といった観を受けるが、キムとラマを中心軸に読み解くと、ポスト・コロニアルと言えるのでないだろうか。インド特有のカーストに目を向ければ、マルクス主義と捉えがちだが、それは表面的な観方で、実は新マルクス主義的な観を持つ。2014/01/30

マッピー

7
キムは、今でいえばストリートチルドレンのような子。ある時キムの町にある博物館に、チベット仏教の高僧(ラマ)が現われた。托鉢をしながら旅をするラマを、キムは献身的に支える。ラマに対するキムの献身が、徹底的な献身が、苦しくなるほど切ないのね。キムは本当に心から師匠のことが大好きなの。「お師匠さんのためにいろいろ不手際をやらかしたと思うと、心苦しくて」「お師匠さんの肉体はぼくに頼っておられるけれど、ほかのすべてのことにおいてぼくはお師匠さんに頼っているんですよ。」しみじみと心の深いところに染みてくる物語。 2016/05/10

imaco

5
英国占領下のインドをめぐる諜報合戦を背景にした、少年キムの成長物語であり、ラマ僧の探求の物語。無邪気なお師匠さんと、海千山千のマハブブの会話が噛み合っていないところが好き。キムは本当にいい子だな。2010/06/15

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