内容説明
脳神経科医サックスは、若き日に、ニューヨーク郊外にある病院に赴任した。そこには、食欲もなく、およそ人間らしい表情もない半昏睡状態の人びとがいた。1920年代に大流行した嗜眠性脳炎の後遺症患者である。かれらは、サックスの渾身の治療によって、数十年の眠りから「めざめ」る。だがそれもつかのま、恐ろしい「副作用」とのたたかいがはじまる―。レナードをはじめ、病とともに生きる20人の患者たち一人一人と正面から向きあった感動の記録。サックスの医師としての出発点を描く傑作メディカル・エッセイ。
目次
第1章 病と薬―歴史
第2章 「めざめ」―症例
第3章 病と生きるとは
第4章 その後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糸車
27
昔総合病院の神経精神科病棟に勤務していた。「レナードの朝」は映画を見、その後図書館で借りて読んだ。映像から伝わるもの文章から伝わるもの、入院患者さんや面会にこられる家族のことが頭に浮かび、病とじっくり向き合うしんどさを思った。中央手術室に4年間勤め、緊張する場面が多くやりがいはあるけれど患者さんとのふれあいが極端に少ない部署から希望しての移動だった。治療によって回復する人ばかりではないけれど、処置がなくても患者さんと一緒に過ごす時間が多い病棟はわたしに合っていた。感情移入なしでは読めないので再読はきつい。2015/08/31
syachi
7
原因不明の不治の病の患者に対し、試行錯誤しなから新薬を投与してその効果を記録している。またその病が体が硬直して思うがままに動けなかったりする症状であったりもするので治療の喜びはひとさらだったのだろう。けれど必ずしもうまくいくとも限らず、患者の方の苦しみ、悲しみや医師である著者の悲しみを見てとれるようで、切ない。2015/09/03
ゲンショウ
4
映画を見てから拝読。嗜眠性脳炎に関する臨床レポートの趣があるドキュメンタリーです。全編にサックスの優しさが散りばめられていて、多少の難解さは忘れてしまいます。
那由田 忠
2
健康と病気がどのように対立するのか、あるいは重なり合うのか。健康な我々にとって、精神と肉体が若干の乱れがあってもほぼ調和しあって生活するのが当たり前。でも、それはかなりの苦労と調整の末に達成していることかもしれない、と気づかされる。自分の意志と全く違ったところで、突然に身体が硬直して長時間全然動かなくなる病気があるのである。あるいは、異常に速い動きになって止められない病気。そんな精神/脳のあり方の不思議さ、生命や人格の不思議さ・奥深さに驚かされる本である。一部だけでも読むだけで人生観が変わる本である。2012/09/29
ーう˙ᵕ˙
1
映画の評判が良いから読んでみたけど思っていたのとちがった。映画のほうはだいぶ創作されているみたい。2021/02/23