内容説明
ルネサンス期のもっとも謎めいた絵画とされるジョルジョーネ(1476/78‐1510年)の嵐。前景に裸婦と乳児、青年。川の流れに橋が架かり、その先に町。空に稲妻が光り、嵐の近づく気配―。はたしてこの絵の主題は何なのか?本書は、その解読を通して、ルネサンス文化をになった人々の時代背景を再現し、その精神世界を明らかにする。図像解釈学、神話学、歴史学、社会史を駆使する本書は「推理小説のように面白い」とされ、美術史に多大な影響を与えた。戦後イタリア発のみずみずしい知を代表する著者の主著を、待望の初邦訳。
目次
第1章 主題と無主題
第2章 “三人の哲学者”をめぐって
第3章 釈義の歴史(炎と秘儀;「家族」と音楽;主題を探して;X線写真と「描き直し」;「パズル」の原則)
第4章 解釈された“嵐”
第5章 隠された主題
著者等紹介
セッティス,サルヴァトーレ[セッティス,サルヴァトーレ][Settis,Salvatore]
1941年、イタリア・カラブリア州ロザルノに生まれる。ピサ大学およびピサ高等師範学校卒業。ピサ大学文哲学部正教授、ピサ高等師範学校古典美術史考古学正教授、J・ポール・ゲッティ財団美術史人文学センター所長をへて、1999年よりピサ高等師範学校校長。専門は古典美術史・考古学、ルネサンス美術史。トリノの出版社エイナウディの出版計画顧問をつとめる
小佐野重利[オサノシゲトシ]
1951年、山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。ゲッティ美術史人文学研究所招聘研究員、東京工業大学助教授などを経て、現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授。専門はイタリア十五世紀美術史
石井元章[イシイモトアキ]
1957年、群馬県生まれ。東京大学法学部、文学部を卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程、ピサ高等師範学校大学院修了(文学博士)。現在、大阪芸術大学教授。専門はイタリア・ルネサンス美術、日伊文化交流
足達薫[アダチカオル]
1969年、山形県生まれ。東北大学大学院文学研究科を経て、ローマ大学「ラ・サピエンツァ」美術史学科留学。東北大学文学部助手を経て、現在、弘前大学人文学部講師。専門はイタリア十六世紀美術史、マニエリスム
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