晶文社アフロディーテ双書
女と人形

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784794923127
  • NDC分類 953
  • Cコード C0397

内容説明

あなたを愛したい。…カーニバルの喧騒渦まくスペイン・アンダルシアの古都セビリャ。恋の快楽をもとめるフランス人青年アンドレのもとに、一人の女からの言伝てがとどけられた。女の名はコンチータ。口もとに浮かぶ甘い微笑。眩暈のするようなしなやかな肉体。女との密会の場所に急ぐアンドレに旧知のスペイン紳士が耳打ちした。「あれは悪魔のような女です。」快楽に溺れながら、どこまでも堕ちてゆく甘美で残酷な愛を描く、フランス世紀末の詩人ピエール・ルイスの不朽の名作。

著者等紹介

ルイス,ピエール[ルイス,ピエール]
1870‐1925年。フランスの詩人、作家。ギリシア・ローマの古典に通じる。見事なフランス語による詩や小説を発表、熱狂的な支持と高い評価を受ける。マラルメ、ジッド、ヴァレリー、ドビュッシーらと交友する。厖大な遺稿がある

生田耕作[イクタコウサク]
1924‐94年。京都生れ。京都大学教授として教鞭をとる傍ら、バタイユ、セリーヌ、マンディアルグなどの紹介を行う
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

metoo

41
〈再読〉あれは悪魔のような女です。と帯にある。嵐のように読み終える。素晴らしい構成。キラキラした言葉の数々。冒頭にゴヤの「藁人形」の挿絵。着飾った女性四人が布を広げその上に藁人形を乗せて放り上げている様子が描かれている。藁人形はマテオか、それとも、女性に弄ばれる男性全てか。スペイン女性のパッションと踊りと音楽の喧騒のなか、むせかえるようなコンチャの匂いを想像し眩暈がした。2014/05/25

HANA

18
わたしのためなら死をもいとわぬと、常々そう言ってるあなた、それなら死んでちょうだい、そのときこそほんものよ。このエピグラフが全てを物語っている。やっぱり恋した女の前では、男は人形になるしかないんですよね。この物語の語り手は傍から見たらあまりにも愚かしい、ただその愚かしさを笑えないことも事実。読みながら『痴人の愛』を連想してしまったが、洋の東西に関わらずこの手の話はあるものであろうなあ。2012/06/20

刳森伸一

3
エロティカを集めたアフロディーテ双書ではあるが、直接的な表現はなく、倒錯した愛憎を描いた心理小説。マゾヒズム的な意味において非常にエロチック。2016/06/17

兎乃

3
これも先日図書館で読了。ピエール・ルイスの構成力って凄いなぁって思います。物語は、ああああ、そうだね、やっぱりそうだね...と奇妙な納得がありました。最近の雑感も含めてブログを書いてみましたが、諸事情によりとってもハギレが悪い私です。 http://sakuyauno.jugem.jp/?PHPSESSID=c10cfdb2b88e6af4e4dfe5b3d2b7d5e82012/08/13

黙劇

2
愛憎は浮き沈みを繰り返す。コンチータはマテオを、愛を繰り返す人形に変えてしまう。マテオは自身がコンチータの人形となっているということに気づきながらも献身的に愛を注ぎ続けるのであるが、その愛を受け入れるであろうと思われたコンチータは、憎悪を示し、マテオの心を揺るがすのである。憎悪を示されたマテオは暴力に出、コンチータはマゾ的快感を享受しながらも愛を唱え続ける。「悪事を行うのは、…誰かを苦しめるのが面白いから──」愛憎は誰かの幸福に通じることができると、気づかされた。2015/03/18

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