出版社内容情報
NGO活動にとって不即不離な「平和構築」と「人権擁護」。その行動理念を各分野・各地域のホットな取り組みを通して自己検証。NGO関係者20名の参加による統一アピール!
9・11事件の衝撃後、NGO(非政府組織)を取り巻く今日的状況は一層厳しさを増している。戦争やテロによる直接的暴力だけでなく、大企業によるエイズ治療薬の独占に見られるような「経済のグローバル化」がもたらす構造的暴力も拡大し、人々が安心して生きるための基本的な権利(人権)を脅かしている。平和と人権をめぐる話は地球上のどこか遠い所の物語ではない。それは今私たちの一人ひとりの足元で様々な形で現実に起こっている問題でもある。日本政府が進めている改憲、海外派兵、有事法制などの動きもその文脈の中で問題視されなければならない。本書は平和・人権に関するNGOに携わるスタッフ及び研究者有志20名が、理論・実情・行動の三側面から、日本政府が唱える国益中心の官製「平和構築」論を批判し、人々の生の声に耳を傾けながら、国内外で最も支援を必要としている人々に徹底して寄り添うNGOの具体的な在り方を示すもの。文献リスト、NGOリスト、索引付。
内容説明
官製「平和構築」論では平和はつくれない!声なき声に耳を澄まそうそれがすべての出発点。NGOおよび関連機関有志20名が実感する非暴力・平和の本当の意味。
目次
平和と人権の統一的視座―NGOの社会的使命
第1部 NGOの行動基盤―「共通認識」の獲得へ向けて 理論(平和をつくる主体としてのNGO;人権を守るために―アムネスティ・インターナショナルの運動から;国際法から見た平和と人権―「イラク戦争」の違法性、そして差異の共同体 ほか)
第2部 「平和」と「人権」を脅かすもの―その根本原因にいかに立ち向かうか 実情(HIV/エイズ対策と世界の健康―子どもたちとの出会いを通して未来を考える;紛争と経済―私たちの日常が問われている;米国一国主義を超えて)
第3部 NGOの使命を問う―敵―味方の二元論を超えて 行動(「平和構築」とは何か―市民が創る平和への一考察;グローバル化に立ち向かうATTAC運動;多文化・多民族共生と平和の模索―ユーゴスラヴィア支援の教訓を生かす ほか)
著者等紹介
三好亜矢子[ミヨシアヤコ]
1956年生まれ。家庭通信社記者。法政大学兼任講師。ドキュメント・アイズ代表。専攻、社会開発
若井晋[ワカイススム]
1947年生まれ。東京大学大学院医学系研究科教授。専攻、国際地域保健学。日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)の派遣ワーカーとして台湾で働き、同総主事、独協医科大学脳神経外科教授等をへて現職
狐崎知己[コザキトモミ]
1957年生まれ。専修大学経済学部教授。中米の人びとと手をつなぐ会代表。専攻、国際関係論・ラテンアメリカ地域研究
池住義憲[イケズミヨシノリ]
1944年生まれ。国際民衆保健協議会(IPHC)日本連絡事務所代表。東京YMCAおよびアジア保健研修所(AHI)での計30年にわたるNGO経験をへて現在に至る
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