出版社内容情報
ベイズ統計学は、機械翻訳、迷惑メール除去など身近なITにも利用され、人工知能やビッグデータ解析にも不可欠の、いまや注目の理論。
だが、統計学界の主流派「頻度主義者」により、「ベイズ」は200年近くの長きにわたり、異端視されてきた。
それでも、第二次大戦中・戦後に暗号解読、敵潜水艦の探索などの軍事面や、保険数理、意志決定理論などの実用面で、ひっそりと発展。
やがて、コンピューターの進歩・普及が、ベイズ統計の劣勢を一気に逆転させた。
ベイズ統計の数奇な遍歴と、統計学者たちのあまりに人間的な諍いの物語が、初めて語られる!
<目次より>
序文、および読者の皆さんへのただし書き
【第1部 黎明期の毀誉褒貶】
第1章 発見者に見捨てられた大発見
第2章 「ベイズの法則」を完成させた男
第3章 ベイズの法則への激しい批判
【第2部 第二次大戦時代】
第4章 ベイズ、戦争の英雄となる
第5章 再び忌むべき存在となる
【第3部 ベイズ再興を志した人々】
第6章 保険数理士の世界からはじまった反撃
第7章 ベイズを体系化し哲学とした三人
第8章 ベイズ、肺がんの原因をつきとめる
第9章 冷戦下の未知のリスクをはかる
第10章 ベイズ派の巻き返しと論争の激化
【第4部 ベイズが実力を発揮しはじめる】
第11章 意思決定にベイズを使う
第12章 誰がフェデラリスト・ペーパーズを書いたのか
第13章 大統領選の速報を支えたベイズ
第14章 スリーマイル島原発事故を予見
第15章 海に消えた水爆や潜水艦を探す
【第5部 何がベイズに勝利をもたらしたか】
第16章 決定的なブレークスルー
第17章 世界を変えつつあるベイズ統計学
補遺a 「フィッシャー博士の事例集」:博士の宗教的体験
補遺b 乳房X線撮影と乳がんにベイズの法則を適用する
序文、および読者の皆さんへのただし書き
【第1部 黎明期の毀誉褒貶】
第1章 発見者に見捨てられた大発見
・ベイズ師のすばらしい発見
・ベイズが生きた時代とその人物像
・ベイズの天才的ひらめきはいかにして生まれたか
・ベイズの大発見はほとんど注目されなかった
第2章 「ベイズの法則」を完成させた男
・数学者ラプラス誕生の背景
・天文学と確率論を結びつける
・ラプラスはどのようにベイズの法則を発見したか
・ラプラス、ベイズを知る
・確率の理論を男女出生比調査で実践
・一八世紀フランスの政治と統計学
・ラプラス、太陽系の安定を示す
・フランス科学界の長老として
・ベイズを法則を定式化する
第3章 ベイズの法則への激しい批判
・誤解に満ちたラプラス像
・攻撃の的は等確率と主観的信念
・フランス軍のなかで生きつづけたベイズの法則
・アメリカ電話電信会社を救ったベイズ
・アメリカの労災保険料率算出への利用
・反ベイズの大物、フィッシャーの人となり
・フィッシャーとネイマン、二人の反ベイズ同士の諍い
・ベイズの法則が復活の兆しを見せた領域
・フィッシャーの友人となったベイズ派、ジェフリーズ
・ジェフリーズ対フィッシャー──またもベイズ派が負ける
【第2部 第二次大戦時代】
第4章 ベイズ、戦争の英雄となる
・なんとしても答えを出さなければならない問題
・ドイツ軍の暗号エニグマを解読せよ
・数学者に活躍の出番が回ってくるまで
・数学者チューリングがベイズの手法で解読をはじめる
・暗号解読に必要なものを手に入れる
・ロシアでもベイズは軍用統計学となった
・より強力な暗号「タニー」の登場
・エニグマ暗号機にホイールが追加される
・チューリングとシャノン──戦時下における二人の天才の対話
・ユーボート探索の作戦にもベイズが使われた
・世界初の大規模電気式デジタル計算機による暗号解読
・暗号解読にベイズを使ったチューリング以外の人たち
・ベイズの手法の貢献が超機密扱いになる
第5章 再び忌むべき存在となる
・「頻度主義にあらずんば統計学にあらず」という時代
【第3部 ベイズ再興を志した人々】
第6章 保険数理士の世界からはじまった反撃
・反ベイズへの逆襲を試みる男
・なぜかうまくいくベイズ流損害保険料率に驚く
・保険数理士の世界からアカデミズムの世界へ広まる
第7章 ベイズを体系化し哲学とした三人
・統計学者の数が爆発的に増える
・外部からは嫌われ、内部では分裂する統計学者たち
・ベイズを再生に導いた変わり者、グッド
・転向して熱烈なベイズ派となった理論家、サヴェッジ
・イギリスにベイズ派の拠点を築いたリンドレー
第8章 ベイズ、肺がんの原因をつきとめる
・がんとたばこの関連を調べた世界初の症例対照研究
・たばこと肺がんの因果関係をベイズの手法で証明する
・コーンフィールドの大活躍とベイズの復活
第9章 冷戦下の未知のリスクをはかる
・未経験の危機に関する研究へと誘われた若者たち
・核兵器事故が起きる不安は募りつつあった
・事故の危険を予測した報告書は何を引き起こしたか
第10章 ベイズ派の巻き返しと論争の激化
・ベイズ理論の驚くべき多様化
・反ベイズの立場の理論家も密かにベイズを使った
・反ベイズの大物たちとの対立はどうなったか
・ベイズに注目が集まり他分野にも影響を及ぼす
【第4部 ベイズが実力を発揮しはじめる】
第11章 意思決定にベイズを使う
・ベイズ派も頻度派も現実の問題より理論だった
・情熱と好奇心のアウトサイダー、シュレイファー
・意思決定に頻度主義が無力だと悟ったライファ
・ライファとシュレイファーがベイズを使えるものにした
・二人はベイズの普及に成功したか
第12章 誰がフェデラリスト・ペーパーズを書いたのか
・非軍事分野における最大規模のベイズ手法実践例
・現実の問題を扱うなかで明らかになったベイズの困難さ
・研究を指揮したモステラーの並はずれた能力
・著者判別の手がかりとなる単語の発見
第13章 大統領選の速報を支えたベイズ
・テレビ業界の熾烈な競争と世論調査
・軍事関連研究の大物、テューキー
・なぜテューキーは大統領選速報の仕事を受けたのか
・テューキーのベイズ派と頻度主義に対する態度
・ベイズの手法は安全保障のために隠されたのか?
第14章 スリーマイル島原発事故を予見
・ベイズ派が停滞期に陥った理由
・ベイズ派内における著しい見解の相違
・ベイズの手法による分析で原発事故を予見
第15章 海に消えた水爆や潜水艦を探す
・爆撃機が空中爆発して載せていた水爆が行方不明に
・仮説をいくつも立てて確率を付与する
・水爆探索の現場で何が起きていたか
・目撃証言と潜水艇による探索で水爆にたどりつく
・ベイズ統計を使う次なる機会──潜水艦探索
・潜水艦探索で使われた先進的手法「モンテカルロ法」
・探索の理論が漂流船を救助するシステムに応用される
・ソビエト潜水艦の発見・追尾に応用され成功
【第5部 何がベイズに勝利をもたらしたか】
第16章 決定的なブレークスルー
・コンピュータが発達しても統計学者たちの足踏みはつづいた
・各分野でベイズの手法を使った成果が出はじめる
・ベイズが画像解析に革新をもたらす
・ベイズの手法に革命をもたらす数値積分法の発明
・マルコフ連鎖モンテカルロ法がもたらしたインパクト
・ベイズの手法がソフトウェア化され多分野で大活躍
・医学分野でもベイズが使われはじめる
・海洋ほ乳類保護でもベイズが活躍
第17章 世界を変えつつあるベイズ統計学
・ベイズは受け入れられ活用され、論争は沈静化した
・ニュースとなり、賞を生んだベイズ統計
・金融市場の予測から自動運転車にまで応用されるベイズ
・スパムメール除去やWindowsヘルプにも
・Eコマースにもネット検索にもベイズの知見が
・ベイズが機械翻訳を大躍進させる
・人間の脳もベイズ的に機能している
・ベイズ統計は完璧な思考機械を生み出すのか
補遺a 「フィッシャー博士の事例集」:博士の宗教的体験
補遺b 乳房X線撮影と乳がんにベイズの法則を適用する
シャロン・バーチュ・マグレイン[シャロン バーチュ マグレイン]
著・文・その他
冨永 星[トミナガ ホシ]
翻訳
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