出版社内容情報
建築イラストの第一人者が絵と文で再現した明治の東京。築地ホテル館、鹿鳴館、浅草12階、新橋ステーションなど主要建物を網羅。遊び、服装、馬車など風俗も活写。
内容説明
江戸から明治維新を経て、急速に文明開化を進めた日本。巨大都市東京は江戸趣味と欧風文化が入り混じり、急激に変貌する都市空間となった。建築イラスト、都市イラストの第一人者が160枚のイラストレーションで描き上げた、幻影の都市の全貌。銀座レンガ街、鉄道馬車、隅田川の一銭蒸気船、鹿鳴館、浅草凌雲閣、細民街、万世橋駅、吉原大門など、今は見ることができない明治の情景を紙上で生き生きと再現する。
目次
1 文明開化
2 新しい国づくり
3 町の施設
4 言論の時代
5 東京の町づくり
6 市民の生活
7 町の楽しみ
8 明治のたそがれ
著者等紹介
穂積和夫[ホズミカズオ]
1930年東京に生まれる。東北大学工学部建築学科卒業。長沢節に師事して絵を学ぶ。建築設計事務所を経て、イラストレーターに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
56
御一新から明治天皇崩御まで、明治の変遷を東京という空間に限定して追った一冊。というわけで歴史的事件にはほぼ触れられず、建築や庶民の生活が中心となっているんだけど、これが滅法面白い。震災空襲前で江戸の名残がそこかしこに残っており、一方で西洋由来のものが次々に生じているごちゃ混ぜにして魅力的な時代がわかりやすいイラストと共に描かれている。こうイラストにされると文章だけではわかりにくい細部がはっきりわかるなあ。一丁倫敦や浅草十二階、花見に川開き、行商の様子と、遠くになった時代を生き生きと感じられる一冊でした。2018/10/01
ホークス
48
元本は2010年刊。著者は建築・都市を得意とするイラストレーター。「江戸時代以来の伝統と西欧の近代文明が入り混じった不思議なエキゾチシズムこそ明治独特の魅力」と言う。160枚のモノクロイラストは建物が細かく描かれている。馬車、軍服、ポスト(木製)、街灯などもあり、明治の生活を感じられる。解説は平易で、イラストに絡めながら当時の世の中を幅広く語る。出来たばかりの銀座は、道の両側に石とレンガの2階建洋風建築が並んでいた。「レンガの家に住むと、青ぶくれになって死ぬ」という噂が立ち、入居者が集まらなかったらしい2021/12/08
春ドーナツ
15
書影の建物のインパクトにぶっ飛んだ。これは読んでみたいと思った。明治4年着工の「三井ハウス」である(「三井のリハウス~♪」が脳裏をよぎった)。「和洋折衷の五階建てで、二階正面にはバルコニーを設け、寺院を思わせる唐破風つきの大屋根、城郭の天守楼に匹敵する物見の塔など、あらゆる異質の要素を渾然一体にまとめ上げている」(45頁)あ。銀行ね。安直「明治」ファンとして、この手のものをいろいろ物色してきたが、本書は出色だと個人的に思う。「三四郎」や鴎外の「青年」たちが歩いた街並みはこんな風だったのかなと思ってみたり。2022/12/06
マッピー
8
明治150年にあたる今年、明治関係の本も多く読むことになりそうなので、参考本として購入。ぱらぱらとめくったら止められなくなってしまった。面白い!元号が変わったからと言って、生活が一気に変わるわけではない。街並み、生活習慣、祭りやファッション。明治の初年から末年まで、いろんな視点から明治を描写。小説を読むときにも参考になる。読む明治図鑑のような感じ。2018/01/08
marsh
2
ファッションや自動車のイラストレーターとして著名な穂積和夫さんが「江戸情緒の残る明治の東京」を魅力的な絵と文章で描きました。描かれる対象は、文明開化から新しい国づくり、街づくり、文化や市民の生活と多岐に渡ります。明治初年の日本橋、築地居留地、銀座レンガ街、様々な人力車、鉄道馬車、鹿鳴館、帝国議会仮議事堂、隅田川の五大橋、日本銀行本店、不忍池の競馬場、明治の高層ビル/浅草凌雲閣、男女の洋装、四季の行楽、帝劇と三越等々。既に失われたものや記憶に残したい文化風俗が描かれていて頁をめくるのがとても楽しい一冊です。2018/03/17