内容説明
太平洋戦争下のアメリカの犯罪。アメリカは太平洋戦争を正義と人道を掲げて戦った。しかし、著者も認めているようにこの戦争で最も残虐だったのは、一夜で十万人の非戦闘員を殺した三月十日の東京大空襲であり、二つの原爆だった。この本はアメリカ人がどのように無差別爆撃を正当化し、あるいは反対したかを綿密に検証した貴重な一冊である。
目次
1 アメリカの航空戦指導者
2 アメリカ陸軍航空軍の戦いの教義と一般市民に対する爆撃
3 ヨーロッパにおけるアメリカの航空作戦―占領下の国と枢軸衛星国
4 ドイツに対する爆撃1―初期の作戦
5 ドイツに対する爆撃2―ドウエット的戦争への移行
6 日本に対する爆撃1―焼夷弾攻撃の準備
7 日本に対する爆撃2―東京から長崎へ
8 日本に対する爆撃3―道義的問題に対するアメリカの認識
9 道義的問題への反応―多様性の説明
著者等紹介
シェイファー,ロナルド[シェイファー,ロナルド][Schaffer,Ronald]
カリフォルニア州立大学ノースリッジ校歴史学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
7
戦略爆撃の道義性については、これを実行した人々の間でさえ見解が統一されていたわけではなく、具体的な状況に左右される部分もあった(爆撃機の数が少なければ精密爆撃、充足してくると広域爆撃支持)。だが結局は大量殺戮を容認・推進する方向に流れてしまった。この一筋縄ではいかないプロセスが丹念に分析されている。ドゥーエ(本書では「ドウエット」表記)の戦略爆撃思想はもっと注目されるべきと思う。2023/06/16
キミ兄
0
日本空襲に際しては道徳的観点の議論自体がほとんど無かった。欧州では関係者間の発言を丹念になぞっているが局外者にはわかりにくい。☆☆☆。2012/01/04
くまさん
0
アメリカ陸軍飛行隊の将校らは真珠湾攻撃のかなり以前から、日本を敵国とみなして、日本の人口密集部に対し火炎兵器を使用することを考えていた。戦前に日本で営業していたイギリスの保険会社提供の情報を検討した結果、1923年の関東大震災は、焼夷弾が日本諸都市に「恐るべき破壊」をもたらしうることを実証したものであり、日本の一般市民に対する攻撃は日本人の士気破壊に極めて有効であると推測した。日本の市街地は火炎攻撃に極度に脆弱であり、火炎攻撃は労働者の家を奪うことによって日本の生産性を著しく妨げると結論した。 そして、ア2012/04/29