悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘

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  • サイズ B6判/ページ数 443p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794215130
  • NDC分類 538.3
  • Cコード C0053

内容説明

日本が太平洋戦争中に創り出した世界最高峰のエンジン「誉」は多くのトラブルに見舞われた。なぜなのか?そこにはすでにH2ロケットの失敗へと続く日本の大型技術開発の問題点がすべて含まれていた。

目次

プロローグ 博物館の鉄の塊
第1章 奇跡のエンジン「誉」
第2章 中島知久平の旗揚げ
第3章 試作から量産へ
第4章 「誉」エンジンの検証
第5章 欧米メーカーの開発体制
第6章 シリンダーとピストン、冷却の盲点
第7章 航空技術廠内の「誉」批判
第8章 悲劇を生んだ根本原因
エピローグ 「欧米に追いつけ」の果てにあるもの

著者等紹介

前間孝則[マエマタカノリ]
ノンフィクション作家。1946年生まれ。石川播磨重工の航空宇宙事業本部技術開発事業部で20年間にわたってジェットエンジンの設計に従事。88年同社を退社。日本近・現代の産業史および文化史の執筆に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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鐵太郎

11
「誉」の問題点を、性能追求に奔走した中川良一技師と中島飛行機に負わせることは簡単です。従来の批判は、そこをベースに語られました。しかしそこだけに問題があったのだろうか。ほかに問題はなかったのだろうか。「誉」とは、本当はどんなものだったのだろうか。その時の過ちを、日本は繰り返すことはなかったのだろうか。前間さんの筆は、執拗です。しかしそれは、単に暗部をえぐり出すためだけではありません。未来への期待があります。責めを負うべきなのは誰か。誰が、どんな分野に関して責任を負うべきなのか。2009/06/24

デューク

5
「大東亜決戦機」と呼ばれ、太平洋戦争の運命を決するエンジンとの呼び声高き「誉」エンジン。陸海軍からの過剰ともいうべき期待と、それに応えられずに「亡国のエンジン」とまで呼ばれたエンジンの開発秘話。 開発リソースの分散、量産性を考えない設計、熟練工の不足、原材料の品質低下などに悩まされ、本来の性能を発揮できなかった誉エンジン。技術開発としては一定の成果を挙げたが、技術実用化としては大失敗に終わった物語は多くの示唆に富む。おすすめ2016/01/04

むらきち

4
中川良一さんと誉を中心に、当時の航空エンジンについて幅広く、事細かに書かれています。情報量がとても多くていいのですが、まとめられて無い感じが残念です。2010/12/04

どすきん

3
前回は図書館で借りた文庫本。新書で再読。こんな内容だったっけ。すっかり忘れている。「誉」の不調の主な原因に触れていたのは別の本だったか。2021/09/10

ぞだぐぁ

3
戦時中陸海軍の複数の戦闘機に搭載されたが、不具合を起こしまくったエンジン『誉』。そのの問題の原因について設計から中島飛行機の企業体質まで触れている本。海軍から来た技官が直接現場で品質を下げるように指示したり、一人の技術者が複数の案件を抱えていて重大トラブルが起きてもそれに注力できないとか、現在にも通じる話が多い。2019/02/13

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