出版社内容情報
安定しているかに見えるドイツも深部で地殻変動が始まっている。それは波瀾の前兆か。ドイツ在住の作家がこの問題に答える。
内容説明
ひところドイツは福祉大国ともてはやされ、われわれの模範とすべき国とされていた。著者もいうように、メガネも保険でタダでくれるほどだった。年金も失業保険もうらやむべきものだった。ところがである。これらのものがすべてマイナスに働き始めたのである。失業保険をあてに働かない若者を生み、会社負担の社会保険料の値上がりをきらって、企業は人員削減に励み、それが失業を増大させる。そして次にくるのは税の減収である。さらに追い打ちをかけるように決定打がやってくる。東西両ドイツの統一である。国民的昂揚は瞬く間に消え、西側から東側に莫大なお金が流れたが、旧東ドイツは一向に復興しない。堅実なドイツはどこへいったのか。著者はゆらぐドイツを描くことに見事に成功した。まれにみる現代ドイツ論が誕生した。
目次
序章 アデナウアーからシュレーダーまで
第1章 黄金の福祉大国の終末―世紀の改革「アジェンダ2010」の行方
第2章 ペットボトルの森の中で
第3章 ヨーロッパ連合―理想の世界を目指して
第4章 悩み多き教育問題
第5章 「離婚」という新文化
第6章 ドイツのイスラム教徒
第7章 メディアという名のヒステリー
第8章 東西ドイツ統一の大いなる誤算
著者等紹介
川口マーン恵美[カワグチマーンエミ]
1956年大阪生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、ドイツのシュツットガルト国立音楽大学大学院に留学。82年ピアノ科を修了。同年エバーハルト・マーン氏と結婚。三女の母。90年、『フセイン、独裁下のイラクで暮らして』(草思社刊)で彗星のように登場。強烈な批評精神によって論壇に衝撃を与えた
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