出版社内容情報
『広辞苑』のルーツになった三冊の辞書は何か? 名辞書の誉れ高い『例解国語辞典』を襲った悲劇とは? 丹念な調査にもとづいて辞書の中に隠された驚愕の事実を掘り起こす。
内容説明
『広辞苑』の前身である『辞苑』が密かに模倣していた3冊の辞書は何か?名辞書の呼び声高い『例解国語事典』を襲った信じがたい悲劇とは?ミステリーの謎解きを思わせる手際であぶりだされる国語辞書をめぐる「事件」の真相。長年にわたり日本語と国語辞書をめぐる問題を取材し続けてきた著者だから書きえた瞠目すべき書。
目次
激突!いろは対五十音
『大言海』八万語説の背景
誇大宣伝ファイル
悲劇の名辞書
『広辞苑』のルーツ発見(序;破;急)
著者等紹介
石山茂利夫[イシヤマモリオ]
昭和18年生まれ。早稲田大学政経学部卒。昭和42年読売新聞社入社。浦和支局を振り出しに、社会部記者、日曜版編集部次長、文化部次長、新聞監査委員会委員などをへて退職
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感想・レビュー
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南北
37
国語辞典に潜んであるさまざまなネタを取り上げた本。半分近くが「広辞苑」のルーツの解明に費やされている。語釈のもとになった3冊の親辞書の解明するとともにそれらの組み合わせによって「広辞苑」の語釈ができていることがわかる。新村出が名義貸しをしていたことは知っていたが、名義貸しと思われる複数の国語辞書を題名だけ変えて異なる出版社から出していたのには驚いた。また、「轆轤がんな」の語釈が「大日本国語辞典」をはじめする辞書で間違っているのは他の辞書から誤った語釈が継承されてきているという深刻な実態を明らかにしている。2020/10/31
びすけっと
12
2004年11月刊。ずっと読みたかった日本語辞典に関わる本。でしたが、思い募りすぎたのか、私の知りたいと思ったところからは大きく外れた著作でした。辞典の駄目っぷりを書いているところがそれかな。例解国語辞典という名辞書となり得たかもしれない日本語辞典があったことを知ったのは収穫。p.69-70の「左」の語釈についてはやはり興味深い。辞書を編むことがどれだけ大変かを著した本の方がやはり読み応えがあります。残念な遠征借り出し本でした。2014/07/30
章魚 たこ
4
いやいや、こんなにも広辞苑と新村出に対して辛辣な文章は読んだことない! ぜひ読まれよ!2018/05/31
mimm
3
国語辞典にまつわる雑学…っていうのかな。使えない辞書として攻撃的に並べ立てた内容のものを、他の著者の本で読んだことがあるけど、そういう類でないのが良いです。名義貸しやパクリ疑惑など、知らなかったたくさんのことをきつい批判でなくやわらかい文章で書かれていることにも好感。素直に面白く読めました。一つ一つの見出しも面白さを引きたててます。何気なくお世話になってる国語辞典に愛着を感じました(でも私の持ってる辞書も「轆轤かんな」は間違ってた…)2011/10/03
homkithi
3
辞書の命は松井簡治が『大日本国語辞典』修訂版の序文で述べた「多数の典籍から語彙を蒐集し、整理するといふ基礎的作業」にこそある、というのが軸。昭和初期の辞書界では一般的だったと推論する、「三冊以上の複数からの引用は模倣批判の対象にはならない」という著作権観の指摘は興味深い。本書で紹介された改訂規模チェック法も電子化された辞書には使えない。「多数の典籍から語彙を蒐集し、整理するといふ基礎的作業」もネットの発達した当世にふさわしい方法を模索する必要がある。国語辞書の未来が明るいことを祈る。2010/11/03
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