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内容説明
古来、日本人は木とともに生き、長い時間をかけて木と語り合い、さまざまなかたちで木を利用してきた。現代では機械技術の発達により、経験から得られた豊富な知識はすっかり忘れられようとしているが、木には機械では計りきれないたくさんの秘密がつまっている。「柱は、山に立っていたときと同じ方角に向けて使うと長持ちする」「舟をつくるさい、板に熱湯をかけたり火をつけたりすると、きれいに曲げることができる」など、いまこそ思い出したい「木の教え」を紹介する。
目次
1 木を生かす(木の二つのいのち;宮大工の口伝;木を買わず山を買え ほか)
2 木の知恵(舟大工の秘伝;節を生かす;木を焼き、木をゆでる ほか)
3 木と生きる(山から田へ;山と海のつながり;炭を焼く ほか)
著者等紹介
塩野米松[シオノヨネマツ]
昭和22(1947)年、秋田県角館生まれ。作家として活躍する一方、聞き書きも精力的におこなう
三上修[ミカミオサム]
昭和29(1954)年、神奈川県横浜生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。自然科学のイラストレーションを得意とする
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
45
宮大工の口伝や舟大工の秘伝など、木を相手に仕事をしてきた人たちを訪ね歩いて教えてもらった話を集めた1冊。「木は育ったままの方向で建物にすれば、建物は長くもつ」「木を組むには癖で組め」「嫌なところへ連れて行かれて、愛情もなく放って置かれると木が自殺する」など木には秘密がいっぱい。木の教えを振り返ることは、そのまま人としての生き方を見直すことにつながる。2020/04/28
澄
15
「木を買わず森を買え」。それは木それぞれに癖があり個性があり、それを活かし、家屋を建てる際に木材を適材適所に使用するためであり、昔は当たり前だった。現在は工場で製材してしまうため木材を適材適所に使用できていない。これは人間社会にも当てはめることができるのではないか。2014/08/14
えんちょ
2
昔の人は賢かった。というより、継承されてきたものは金銭的に非効率なのだけれども、それとは違う生きる意味や実存のあり方が確かにあった証拠であるのだねぇ。自分が伐れない木を、子や孫の代のために植えるって、人生の意味がまるで違うと思う。失われていくのは、なんと勿体無いことか。何かを知る本というより、自分が知らないということを知る本ですね。2022/03/30
satochan
1
木。家、器、障子、箸、寺、神社、舟、炭、木でできたものはたくさんある。家を建てるときの木1本にしても、南向きか北向き、東向きか西向きか、中心か外側か、根元の方か上のほうか、山のどこに立っていた木か、木の種類、年、昔は1つ1つ考慮され作られていた。法隆寺がなぜ1300年も壊れないのか。木のくせを考え、活かし、長持ちさせ、修理のことも考える。著者は人にも同じことが言えるとある。自分が木の癖を読めなかったから建物にひずみや隙間ができる。でも目をそらしたらだめだ。師匠や先輩と同じように木は自分を叱ってくれる先生だ2014/07/22
インテリ金ちゃん
1
普段使っている木製品で不思議に思っていたことが解決。古代においては木は最重要材料だけど、法隆寺を立てた棟梁に現在の材料をすべて見せてどれを使いたいと聞いたら果たして木材を選ぶのだろうか。2014/07/20