出版社内容情報
エジプトの良家に生まれ優等生だった青年はなぜ自爆テロに走ったのか。記者七人が八カ国を徹底取材。９・11テロ実行犯の内面に迫った驚嘆すべき報告！
内容説明
９・１１同時多発テロ。実行犯の中心人物アタの実像に迫った驚嘆すべき報告。
目次
第１部 ハンブルクの優等生―ドイツが拠点だった
第２部 カイロでの生い立ち―中東に飛ぶ
第３部 見えざる網の目―再びヨーロッパへ
第４部 ９・１１までの足どり―アメリカに渡る
第５部 取材のなかで考えたこと
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
34
2001年の9.11同時多発テロのリーダー格で、自らもパイロットとして自爆したモハメド・アタの足跡を追った記録。 アタはエジプトの裕福な家に生まれドイツのハンブルクに留学。西欧文明の洗礼を受けて精神的に動揺したところでイスラム過激派に取り込まれたと本書では推測します。 テロの1年前から米国でパイロットの訓練を受け、ハイジャックする飛行機を下見。母思いの優しかった青年はすっかり変貌、沈着かつ決然とした姿勢は最期まで揺らぎませんでした。 新聞社のネットワークを使ってテロリストの心中を描こうとした労作です。2019/11/23
てれまこし
3
アタがイスラムに接近したのはハンブルグに留学した1992年以後。もとは決して敬虔なイスラム教徒ではない。なぜイスラムに傾倒したのか不明であるが、差別などのカルチャーショックによるものか？宗教に無関心な真面目な者の方が引っ掛かりやすいという意味で、過激派は伝統的なイスラムより新興宗教に近い。彼を知る者は、みな「頭がいい」「礼儀正しい」「やさしい」と彼を形容する。母親になつき、父親との対立があったかどうか不明だが、弁護士として成功していた父親を越えられないというエディプス・コンプレックスがあったかもしれない。2018/10/24
co1024
0
この本では9・11の実行犯の行動をオウム真理教と重ね合わしている。高学歴な若者が異世界に飛び込んだときに抱える孤独感や閉塞感から何かにすがろうと新興宗教にはまっていったように、アタ達も西洋と触れたときに感じた偏見の目から自己のアイデンティティを求めて過激な思想を持つようになったのだろう。イスラム教徒にアルカイダのことを聞くと「あいつらはイスラム教徒じゃない」とよく言われたことを思い出した。確かに外国人にオウムを見て、あんたも仏教徒でしょ？と一緒にされると戸惑うだろう。朝日新聞記者の取材力にあっぱれ。2014/04/05
