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からくり民主主義

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794211361
  • NDC分類 304
  • Cコード C0036

出版社内容情報

沖縄、原発、諫早湾…。行政の歪みが集約された様様な問題の現場に実際に行く。そこにあるのは奇妙にねじれた戦後民主主義の生の姿だった。日本社会の現状を見すえる異色の試み。

内容説明

さまざまな問題が噴出して右往左往の日本社会。いたるところで「権力」は悪行の限りを尽くし、「弱者」たる国民はつねに善良な犠牲者である。国民の怒りを背負ったマスコミは、悪いヤツらを鋭く追及する。沖縄米軍基地、若狭湾原発銀座、諌早湾干拓地、新興宗教団体…。ところが、問題の現場に実際に行って確かめてみると、ことはそれほど単純ではなかった。わかりやすい悪者は容易には見つからず、あちらを立てればこちらが立たず、ややこしく絡み合った利害関係は、絡み合ったままのほうが安定していたりする。どちらが悪いかという話だけでは、どうにも収まりがつかないのである。日本列島はどこもかしこも問題だらけ。どこかおかしな「戦後民主主義」に呪縛され、奇妙にひずんでしまった社会の、なまの姿をつぶさに記録したのが本書である。

目次

国民の声―クレームの愉しみ
親切部隊―小さな親切運動
自分で考える人びと―統一教会とマインドコントロール
忘れがたきふるさと―世界遺産観光
みんなのエコロジー―諌早湾干拓問題
ガリバーの王国―上九一色村オウム反対運動
反対の賛成なのだ―沖縄米軍基地問題
危険な日常―若狭湾原発銀座
アホの効用―横山ノック知事セクハラ事件
ぶら下がり天国―富士山青木ヶ原樹海探訪
からくり民主主義―あとがきに代えて

著者等紹介

高橋秀実[タカハシヒデミネ]
ノンフィクション作家。1961年、横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒。テレビ番組製作会社勤務を経てフリーのジャーナリストになる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばりぼー

36
戦後民主主義が理想とする「平和」「平等」「自然との共生」といった絶対的価値観が、いかにあやふやで曖昧なものかを焙り出した傑作ルポ。沖縄米軍基地、若狭湾原発銀座、諫早湾干拓、白川郷世界遺産観光など、悪の限りを尽くす「権力」と、善良な犠牲者である「国民(みんな)」という単純な対立構造では片付かない問題について、秀実氏ならではの絶妙なツッコミで地域住民の本音を引き出しています。「それを言っちゃあ、おしまい」という、ある意味で不謹慎な発言も誠実に(?)拾い上げる姿勢は立派というか、肝が座ってます(笑)。 2016/05/12

ばんだねいっぺい

25
 読んでいるとクスクスと笑えるものの、読み終わると少しだけ、この「困った社会(byあとがきの村上春樹)」で生きていくことにうんざりするが、「この困った社会」でどうしていくかということを、筆者のユーモラスな調子をもらって考えたい。2019/01/27

りり

11
最初は題名に?があったのですが(ホンネとタテマエとかの方がピッタリくるのでは、などなど)読み進めるとあぁ、成る程そういうことかと納得。要はホンネとタテマエとのずれの間を埋めるのに、お金や主義や理想などのちょっと大きな声では言いにくい出来事が結構な割合で絡んでいる。現実は身も蓋もないということを認めたくない人が多いらしい。例えばオウムで有名な上九一色村の跡地に建てられた富士ガリバー王国とか分かりやすい。(なんでガリバー?しかも経営不振で潰れた)統一教会の教えは分かりやすいから広まり易いとか。内容はシュール。2015/04/05

しろぶた

5
笑っちゃうね、つい!たまらないなぁって思います。なんで、こんな世の中なんだかなぁ、答えが無いのがありがたい本です。答えなんて、ないのですよ。でも、この世の中で本質を見抜くのって、本当に大変なことだわ。まったくもう。とにかく、普段あんまり表に出てこない自分が生き生きしました。最近は、詩をひとつ書くにも、文章ひとつ書くにも、迷いばっかりでうまくまとまらない、でもそこからなんだなって解説読んで思いました。ははは。まず、迷いがないと。簡単に答えはでないよなって思います。あとがきとか解説とかがまた面白かったりする。2014/10/10

すぎえ

5
本書の書評は村上春樹である。本書でもオームの上九一色村について扱っているからなのかな。本書は諫早湾干拓や若狭湾原発銀座に沖縄の米軍基地問題などの騒動が一通りおちついたあとに取材に向かう感じである。「住民側でも賛成派と反対派に村は二分されています。」といううふうにTVでは言うがたいがいの場合けっしてそんなことはない。賛成、反対、どっちつかずがやはり正しいし、二分してしまうのはメディアや世論、国だったりする。案外その中で現地の人はたくましくしたたかに生きているのが感じられて面白い。現地ではなく外野主導なのだ2009/11/02

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