内容説明
パラノイアの妄想は、かすかな疑念から始まって、徐々に強固な確信へと発展していく経路をたどる。その果てに悲劇的な結末を迎える人々も少なくない。無数の虫や寄生虫に襲われるという男。身長30センチの小さな人間に襲われるという男。孫子の兵法に耽溺するチェス・プレイヤー。安モーテルの部屋で突然、神になってしまった男。リビングで観ていた映画が実生活に混ざりこんでしまった女性も登場する。文豪ヘミングウェイの自殺の陰にも「パラノイアの悪魔」がいたという。われわれが認識している「現実」はどこまでが本当の現実なのか。妄想と現実とのはざまで翻弄される人々の姿に、人間存在のあやうさが浮き彫りにされていく。
目次
第5話 虫の群れが襲ってくる
第6話 殺人生物群
第7話 チェス・プレイヤー
第8話 神になった男
第9話 十番目の災厄
第10話 小人退治
第11話 パラノイア急行
エピローグ ヘミングウェイの墓所にて
著者等紹介
シーゲル,ロナルド[シーゲル,ロナルド][Siegel,Ronald K.]
カリフォルニア大学ロサンゼルス校精神医学行動科学科准教授。法精神薬理学の専門家として、注目を集めた数多くの刑事事件の鑑定証人を務めている。科学雑誌OmniやScientific American等に寄稿している。ロサンゼルス在住
小林等[コバヤシヒトシ]
翻訳家。慶応義塾大学大学院社会学研究科修了
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