内容説明
人間や動物は自己修復能力をもっているのに、なぜ加齢による衰えから免れられないのか。なぜ正常な細胞はガン細胞のように永遠の命をもてないのか。老化のスピードが種によってこんなにちがうのはなぜか。古来より人間は、老化と寿命という生命活動のパラドックスに取り組んできた。せわしなく動く小動物は短命で、のんびり生きる大型動物は長命だという「生命活動速度理論」や、フリーラジカル説、ダイエットすれば寿命が延びるなど、さまざまな説が提唱されてきた。本書はそうした老化理論をひとつひとつ検証し、老化がじつは進化論でうまく説明できること、いま人類は老化との闘いにおいて画期的な時代を迎えつつあることを明らかにする。老化というプロセスがこんなにもおもしろいものだったのかと驚かされる、動物学者によるユニークな読み物である。
目次
1 なぜ年をとると衰えるのか
2 だれも本当の年齢を言わない
3 老化は時代によって変わってきたか
4 長寿の遺伝子はあるのか
5 老化に目的はあるのか
6 怠惰な人ほど長生きする?
7 進化論で老化を考える
8 老化をもたらすプロセスとは?
9 生殖システムの老化と健康
10 老化を遅らせ、寿命を延ばすことはできるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まる
26
そもそも老化をどう定義するか、というところから始まることに驚きました。全然知らない世界だったのですが、確かに、改めて言われると一体何をもって老化というのか…。動物の種類によって寿命が違う理由が知りたかったのですが、私の知識がなさすぎるためか、途中あまりよくわからず、結論として答えは得られませんでした。少し古い本なので今はまた違う説が出ているんだろうなと思いつつ読了です。2015/04/12
midorikawa-e
3
こうストレートなタイトルで、なおかつそれに正面から書いてくれている本って翻訳ものが多い気がします。日本の新書とか「○○はなぜ△△なのか」というタイトルだけど、読んでみるとその周辺の豆知識みたいなものが多かったりとか。ちなみに、この本も「なぜ老化が起こるのか」に直接答えているわけではなですけど、そんな大問題に取り組んできた人々の仕事の紹介など、きちんとなされていて、読みでがありました。2016/04/26
Go Extreme
1
加齢は生物学的なパラドックス→無限に近い多様性 合理的な仮説を神話や希望的観測と区別 なぜ年をとると衰えるのか だれも本当の年齢を言わない 老化は時代によって変わってきたか 長寿の遺伝子はあるのか 老化に目的はあるのか 怠惰な人ほど長生きする 進化論で老化を考える 老化をもたらすプロセスとは 生殖システムの老化と健康 老化を遅らせ、寿命を延ばすことはできるか 生命活動速度説:老化はエネルギーの代謝で決まる テロメアが分裂しない→老化して死ぬ フリーラジカル・細胞を傷つける→老化 生きていることは身体に悪い2022/06/28
くさてる
1
どんな手段を使っても、老化を止めることはできないし、遅らせることも難しい。そもそも「老いる」とはどういうことか。身近なようでいて真剣に考えることは少なかった問題を、科学的に分かりやすく解説してくれる良書。2012/03/25
mugiko2000
0
ちょっと古い本ですがけっこうおもしろかったっす2010/05/13