内容説明
ハッカーはドイツから侵入して来ている。アメリカ各地の軍事施設にあきたりず、折り返してドイツ駐留の米軍基地に侵入したり、はては太平洋を越えて日本の米軍基地にまで触手をのばしている。ハッカー本人は端末機の前から一歩も動くことなく世界を縦横に駆け巡り、自在にスパイ活動を行っているのである。FBIもCIAもあいかわらず犯人捜査に動こうとしないが、ドイツの捜査はもう一歩のところまで来ていた。しかし逆探知を完了させるためには、もっと長時間、ハッカーを引きとめておく必要がある。そこでクリフたちが考えだしたのが「おとり作戦」、偽の情報をちらつかせてハッカーを釣りあげようというのである。どこのコンピュータもほとんど無防備だった。次々と明らかにされるハッカー侵入の手口。コンピュータ関係者必読のセキュリティ・マニュアル。
目次
ハッカーは本当に人間なのか?
ブレーメンか、ハノーヴァーか
捜査令状
中部ヨーロッパ戦域核配備計画文書
アメリカ空軍宇宙司令部
FBIもCIAも動こうとしない
2時間、ハッカーを引きとめろ
「シャワーヘッド作戦」発動!
お楽しみはこれからだ
カッコウは網にかかった〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nyangle
4
ハッカーはどんな人なのか、という興味に引っ張られて最後まで読めるのだけど、いくぶん無駄に長かった。そんな読後感。ハッカー追跡の過程に絞って、半分くらいの分量にしてくれたらよかったのになぁ。まあしかし、コンピュータネットワークのセキュリティに関して警鐘を鳴らすという本書の趣旨は、30年ほど経った今でも有効だろうと思えるあたり、名著の素質があるんじゃないかと。2019/01/23
Susumu Kobayashi
4
ハッカーの所在地はほぼ割り出したものの、犯人逮捕に及び腰のFBI。クリフがやきもきしている間に、ハッカーは軍事関連施設からさまざまな情報を盗み出す。官僚機構の厄介さが浮き彫りになるとともに、当時はまだ認識の薄かったコンピュータをしっかり管理することの重要性を周知する意味もあったのだろう。エピローグではウィルスの危険性についても触れている。ノンフィクションだったが、ミステリとしても面白かった。2017/11/22
mitya
3
FBIもCIAもなかなか事態を深刻に受け止めず、本格的に動き出すのが遅くて読んでいる自分も苛立った。そこで著者はおとり作戦で犯人をおびき寄せることにして、見事犯人逮捕に貢献する。この本が出てから、急速に全世界に情報ネットワークが広がり、著者が最後に述べていたメッセージはさらに重要性を増している。ユーザーは、倫理をもって、ネット社会の恩恵を受けるようにしたい。2016/11/21
ゆきりんりん
2
上巻はちょっと読むのが大変だったけど、下巻は案外すんなり読めた。物語としてもおもしろかったし、技術的にも興味深かった。お役所仕事も、ネットワークの安全性の脅威度もあまり昔も今も変わってないと感じた。2016/04/29
ろーれる
2
ネットをしながらコンピュータことはそんなに詳しくないものにとっても、ただのプログラムの一行だけで乗っ取られる恐怖は伝わりました。2010/12/25