出版社内容情報
戦前日本ジャズ史の第一人者に、いま最も旬のジャズ評論家・ミュージシャンが聴く、「戦前の日本のジャズ文化」超ディープ篇。
内容説明
『東京大学のアルバート・アイラー』でジャズ論を一大転換させた批評家=ミユージシャンが、古典ジャズ史の第一人者から、日本にジャズが生まれ、独自のダンス文化、ショウ文化を生み、日米開戦とともにピークに達するさまを詳細に聞き起こす。現在のダンス・ミュージックのルーツを探り、「ポップ」の誕生の謎に迫る、音楽革命の指南書。
目次
1 ジャズ・ソングの誕生
2 ダンスホールとジャズ
3 ディック・ミネから宝塚まで
4 仁木他喜雄と服部良一
5 日本のスイング・エイジ
6 戦時下のジャズ
7 戦前日本のポップス
8 分裂の戦後
著者等紹介
瀬川昌久[セガワマサヒサ]
1924年、東京都生れ。東京大学法学部卒業。音楽・演劇・ミュージカル評論家。『月刊ミュージカル』編集長。戦前のミュージシャンのレコードの発掘、紹介を精力的に行う
大谷能生[オオタニヨシオ]
1972年生れ。ミュージシャン、音楽批評家。菊地成孔ともに東京大学、映画美学校で講義を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zirou1984
30
いかにも昭和チックなロシア・アヴァンギャルド風の表紙からしてたまらない。半世紀ほども年の離れた瀬川氏と大谷氏の対談で明らかになるのは、戦前におけるスウィング時代のビッグバンド・ジャズは日本もアメリカとリアルタイムで盛り上がっており、クオリティに於いては時に上回るほどのものが生まれていたという驚きの事実であった。特に昭和十年代までは流行歌とダンス音楽が一緒になって、互いに最新のサウンドを競い合うバンドサウンドとダンスホールが一体化していたものが、戦後になって分裂・細分化していった話は寂しさが滲み出ている。2015/05/31
さえきかずひこ
1
瀬川氏のお名前は12,3年前から存じていたし、レコードコンサートに足を運んだりして、戦前戦中ジャズもそれなりに愛好していたが、大谷氏ご本人から「今、瀬川先生にインタビューをしているんだよ」というお話を伺ったときはひどく嫉妬の念にかられたもので、自分でも不思議だった。瀬川氏の著作への橋渡しとしての一冊にもなりそうな本作は日本ジャズ史に興味のあるかたは必読。大谷氏が指摘するようにWW2を挟んで、日本のポップスは様変わりしている。その変遷をつぶさに見ていくことは、ポップス研究の大きな可能性になりうるだろう。2009/01/06
nureyev
0
ようやく読了 ジャズとあるが、昭和初期から戦争が始まるにかけてどのように海外からポピュラー音楽が入り、それが日本で独自に発展して行ったかという内容 日本のポピュラー音楽のルーツを知る上で書かせない一冊2010/08/13
qoop
0
ダンスミュージック(の総称)としてのジャズ受容/変遷史というのは実に面白く、意外でもあった。欧米の流行を追い求め、血肉とし、換骨奪胎して行く様子は読みながら興奮をおぼえた。確かに「青空」「アラビアの唄」「山寺の和尚さん」...今になって思いだしてみれば、どれも実にモダンだもんなぁ。 2009/10/15
風来坊
0
刺激的で面白い。今年のベストか・・・!?戦前の日本の音楽シーン(大衆音楽もクラシック系も含めて)には私たちにとって大きなヒントが眠っているような気がしてならない。2009/04/02