出版社内容情報
「人工生命」論の最先端で「情報流」「カオス的遍歴」といった新しい概念を開拓してきた「構成論的アプローチ」とは。
内容説明
生命とは何か。意識とは、言語とは、音楽とは…。「諸科学の王」物理学を出自とする著者が、科学による還元論では解きえない根源的問題に挑むため選んだのが、コンピュータ・シミュレーションを駆使する「構成論的アプローチ」すなわち複雑系の科学。科学界のみならず芸術の世界でも注目を浴びはじめた、この方法と最新成果を、初めて一般に向け紹介する。
目次
序章 力学系を超えて
第2章 中間層の必要性
第3章 人工生命系
第4章 ブライテンベルグ再解釈
第5章 ダイナミカルなカテゴリー
第6章 コミュニケーション
第7章 意識/能動性/進化の問題
第8章 アート
著者等紹介
池上高志[イケガミタカシ]
複雑系研究者。1961年、長野県生まれ。1984年、東京大学理学部物理学科卒業。1989年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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もじ
3
とても難しかったけど面白かった。単純さから複雑さへと段階を重ねて、どこから自律性が生まれるのか、生命らしいと言えるのかという問いを追究していく。曖昧さ、決まらなさの重要性、動きながら形を得ていくという生命感。最後に自由意思という問題を紹介していて、どんでん返しにあったような気分になった。その探究の過程では「生命とは何か」の問いだけにとどまらず、色々な問題に思索を広げることができる。読解力あげてまた読み返したい。2013/05/24
おすぷれみす
1
面白かった。 複雑系の勉強ってしたこと無かったので結構新鮮な気持ちで読める部分が多かったです。 1番面白かったのは中間層を重視しようというところ。 ニューラルネットが十分に進歩して人間の脳と同じ複雑さを獲得したとしても、そこに意識が生まれると直感的に思えないのは、中間層の存在をなんとなーく感じていたからなんだなと気づきました(著者は人間の脳と同じ程度に複雑なネットワークができれば意識が生まれると考えているようです)。2016/08/11
nukuteomika
1
とりあえず色々詳しいのはわかった 盟友に茂木健一郎と郡司ペギオ幸夫とか挙げられてるあたりがなんだかなあ2010/03/07
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0
力学系の思想を超えて、力学系を成立させている枠組自体に目を向けることによって、「生命とは何か」を問う。生命における中間層を見出し、現象論としての生命理論の構築を目指す。物理学、もっと言えば近代自然科学がこれまで自明とみなしてきた「わかる」に対して、それとは異なる「わかる」こそが生命現象を考える上では必要であると主張されているが、この「わかる」が理論として確立できたとすれば、一つのパラダイムシフトとなるのではないか。2015/03/17
はゃゃ
0
自己組織化やカオスに触れたこともないのに理解できるわけがなかった。とはいっても「アート」の章なんかは筆者の斬新な考えに触れられて面白かった。2014/07/31