ニュー・アメリカニズム―米文学思想史の物語学 (増補新版)

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  • サイズ B6判/ページ数 311,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791761968
  • NDC分類 930.29
  • Cコード C1010

内容説明

魔女狩り、インディアン、奴隷の記録から古典文学、大衆小説、冷戦以後の批評理論まで、アメリカにおける歴史や文学の“語り方”は、独立革命以前につくられた一群の“体験記”の伝統に統御されている―フーコー、デリダ、ド=マンの理論を再検討し、新歴史主義以後の視野から、従来の文学史・文化史を覆した名著。「9・11以後」を踏まえた新論文を増補。

目次

序章 冷戦以後の魔女狩り
1 アメリカン・バロック―コットン・マザーの『キリスト教科学者』と疫病体験記の伝統
2 荒野に消えたマリア―メアリ・ホワイト・ローランドソンの自伝とインディアン捕囚体験記の伝統
3 モダン・プロメテウスの銀河系―ベンジャミン・フランクリンの戯作と開拓体験記の伝統
4 共和制下のアンチ・ロマンス―タビサ・ギルマン・テニーの『ドン・キホーテ娘』と誘惑体験記の伝統
5 モルグ街の黒人―エドガー・アラン・ポウの探偵小説と殺人体験記の伝統
6 屋根裏の悪女―ハリエット・アン・ジェイコブズの自伝と奴隷体験記の伝統
終章 ニュー・アメリカニズム
増補 グラウンド・ゼロの増殖空間

著者等紹介

巽孝之[タツミタカユキ]
1955年東京生まれ。米国コーネル大学大学院博士課程修了。慶応義塾大学文学部教授。アメリカ文学専攻。著書に『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房、1988年度日米友好基金アメリカ研究図書賞)、『ニュー・アメリカニズム』(青土社、1995年度福沢賞)など
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感想・レビュー

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western

6
ジェイコブズ、ポー、フランクリン、ローランドソンを読んだのでそれぞれ関連する章を再読。/ジェイコブズ自伝は「奴隷体験記」の伝統(奴隷資本)に基づくとともに、優れた「読み書き能力」という文化資本によって典型的な「扇情小説」のレトリックを利用し、逆に白人女性読者層の「感情」を言語操作する。それと平行して、彼女が有力な白人男性と子どもをもうけることで奴隷所有者への復讐行為を行った事実も併せて考えればジェイコブズには高度な政治性が見受けられる。また、ピューリタン的予型論がインディアンや黒人をはじめ異教徒的存在を→2018/09/13

Ecriture

6
『メタファーはなぜ殺される』の後編に位置づけられる現代批評理論のトリセツ。コットン・マザーからアメリカが接木に次ぐ接木の後にそれを隠蔽する国家であることを導いたり、ポーから南部保守派の奴隷制度転覆に対する恐怖や奴隷資本→文化資本への移行などを読み取る手腕は見事。一流の学者さんですなぁ。なかでも脱構築主義と新歴史主義の関係をド・マンとフーコーの邂逅と捉える視点は前書の欠点(?)を補っている。しかし脱修辞学的修辞学という言葉をついに用いてはくれなかったことが悔やまれる。2010/02/06

western

5
植民地時代~南北戦争前後に形成された「アメリカン・ナラティヴ(物語=体験記)」の伝統が、具体的には捕囚体験記、疫病体験記、誘惑体験記、殺人体験記、奴隷体験記といった形態をとりながら、いかにアメリカの文学・思想・政治を形作ってきたのかを、「ニュー・アメリカニズム」なる最新(90年代当時)の批評理論を用いて明らかにする。『アメリカ文学史のキーワード』の内容と結構かぶっていたが、一般の読者にとっては硬派すぎる文章についていくのがやっとで、正直しんどかった。また何年か後に出直したい。2018/02/23

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