内容説明
すべては1世紀半前、当代の名優が観劇中のリンカーンに向け放った銃弾から始まった。演劇的想像力が世を覆い、大統領暗殺は、アメリカのみならず、世界全体へのテロリズムとなるだろう。20世紀前半の再評価を経て、いま新たなるリンカーンの世紀が始まる。
目次
リンカーンの世紀
凡庸な大統領の肖像
南の夜の夢
アメリカ・モーゼ
あいまいな合衆国の私
マクベス夫人は今夜も
暗殺のドラマツルギー
ただ一発の弾丸が
鐘の音を聴け
一九〇一年究極の旅
テディ・ベアはなぜ愛される
南北の創生
モビィ・ディックの世紀
著者等紹介
巽孝之[タツミタカユキ]
1955年東京生まれ。コーネル大学大学院博士課程修了(Ph.D.,1987)。現在、慶応義塾大学文学部教授。アメリカ文学専攻。代表的著書に『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房、1988年度日米友好基金アメリカ研究図書賞)、『ニュー・アメリカニズム―米文学思想史の物語学』(青土社、1995年度福沢賞)、編訳書にダナ・ハラウェイ他『サイボーグ・フェミニズム』(トレヴィル/水声社、第2回日本翻訳大賞思想部門賞)、ほか多数
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感想・レビュー
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Ecriture
4
リンカーンを暗殺したジョン・W・ブースは南北戦争期の南部に肩入れし、憎き敵であるリンカーンに殺意を抱いた他方で、父を越える役者になる手立てとしてリンカーンを利用したようにも思える。ブースの真意はどこにあったのか。大統領の暗殺に関わったとされ、その動機が目眩く万華鏡のように変転するJFK暗殺時のオズワルドは、レントリッキアによって「ポストモダン・オズワルド」と呼ばれたが、リンカーン暗殺時のブースはオズワルドやレーガン暗殺未遂時のヒンクリーの祖先であり、ポストモダン・ブースと呼びたくもなる。2013/12/02
takao
2
ふむ2024/04/16