内容説明
新しい生のエチカ。差別と偏見に満ちた同性愛者のイメージを、「アイデンティティ」「カミングアウト」「エイズ」等をキーワードに大胆に解析し、異性愛至上主義の社会に抵抗するダイナミックな戦略を提示。生活し、愛し、活動するゲイ自身の立場から展開する、闘う理論としてのゲイ・スタディーズ。
目次
第1部 歴史編 レズビアン/ゲイ・スタディーズの歴史的展開(レズビアン/ゲイ・スタディーズはどこからきたか;なぜ「私たち」は学ぶのか)
第2部 理論編 「ゲイとして理論すること」の可能性と限界(動く理論と理論の主体;理論形成の重要性と「移植」の危険性;クローゼットの空間とカミングアウトの実践 ほか)第3部 実践編 「考えること」と「闘うこと」―語ることの可能性と戦略(私たちは「ホモ」ではない;書き換えられる物語―ライフヒストリー;同性愛者の声が聞こえるか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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ゲイ/レズビアンのアイデンティティのカムアウトは政治的なこと、という立場から異性愛至上主義の社会をどう崩していくか考察されている。この研究分野は当事者によって担われるべき、というのは批判の余地があるだろう。歴史・理論・実践の3部構成であり、社会に対してモヤモヤしていることを言語化し、それに対し行動する指針になる。フーコー論の部分は専門的だが府中青少年自然の家の部分は今の日本のLGBTQ問題に通じるので必見である。知ったかぶりは無知の一形態であり政治的な加虐行為であることを我々は肝に銘じなければならない2019/05/03
Jade
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ゲイ・スタディーズについて理解を持ちたい、あるいは携わりたいという人にとっては必読の書と言える。西洋理論の紹介などではなく、日本に生きるゲイにとって必要な理論、アクチュアルな理論を考えていくもの。丁寧な文献紹介だけでも読む価値がある。日本の中でいかに学術の世界でカミングアウトすることが難しいかを考慮すると、著者たちの功績は賞賛に値する。2011/08/14