内容説明
理論化された高次の文化と、通俗的な大衆文化を重ね合わせ、そこから社会の見えない主体を浮かび上がらせる、ジジェクの透視図法。ヒッチコッカからS・キング、あるいはマッカロウからロメロまで、大衆文化の豊かな実りを存分に愉しみながら、ラカン理論の核心を解き明かす。同時に、民主主義という形式的普遍主義にひそむ陥穽を告発。東欧ポスト・マルクスのラディカルなヴィジョンを鮮烈に展開。
目次
第1部 現実はどれほど現実(界)的か
第2部 ヒッチコックについてはいくら知っても知りすぎることはない
第3部 幻想・官僚制・民主主義
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫洞 文月
15
面白かったけど、細かい…長い…。図書館本なので挫折します(・_・、) しかし、哲学が理解できたわけじゃないけど、本文中引用の物語とその哲学的考察は予想してたより面白かった。ついでにスティーブン・キングはやっぱりめちゃめちゃ怖いことがわかったので読まないことにします(笑)2020/07/04
またの名
6
ポップカルチャー中心だと思って侮っていた。面白いうえにジジェク節全開。ジジェクの理論を理解するのに『イデ崇』と並んで重要。そもそもヘーゲルやラカンをいきなり読んでも理解しがたくてジジェクを手に取ったのだから、ポップカルチャー満載のほうが読みやすくて当然か。対象a、想像界・象徴界・現実界、幻想、シニフィアン等々、ラカンがSFやミステリや探偵小説を通じて把握でき、しかも現代思想の先端にいるジジェクが味わえるという、非常にコストパフォーマンスの高い本。これは何度も読み返すだろうなぁ。2012/06/19
にゃら
5
翻訳がひどい。マイナーな映画ならともかく邦題くらい調べろ。小説もほとんどタイトルが間違ってる。ジジェク訳すならカフカの小説くらい知ってろ。 一番ひどかったのは、原題「Murder, My Sweet」で邦題は「ブランドの殺人者」のところ、「殺人!」「マイ・スイート」と勝手に二本立てにしてくれてる。ほかにも勝手に邦題つけたりとにかく、鈴木晶の翻訳がクソすぎて調べることに手間取ってしまったので、面白い内容なのに新訳が出るまでオススメしたくない本になりました。ちなみに読んだものは発行から十年経った第五刷でした。2017/11/08
アルゴス
3
なんともわかりやすいジジェク。ヒッチコックや小説を例にとりながら、ラカンの理論の骨子を説明する。ほかのところで語られていて、繰り返しになるところも多いが、ジジェクの本領発揮というところである。ジジェクを読むなら、まずこれをお勧めしたい。2018/01/26
末定智弘
3
ヒッチコックは<他者>の根源的外部性を、主体の真理が表現される場所とした。この手法は「無意識は外にある」というラカンのテーゼの反復である。・・ヒッチ映画はラカン理論の最高のテクスト! まだ本が見つからんのでジジェクの他の本読んでる・2012/05/28