内容説明
動物は、本能だけで生きているわけではなく、さまざまな学習の能力を持っている。動物行動学の最新の成果を背景に、動物たちの意外な心の世界を、さまざまな実例をあげて、手際よく解き明かし、人間中心の自然観をあざやかに覆す、ライフ・サイエンスの最新の視座。
目次
1 人間の色眼鏡?
2 ミス・ハルシーは足をよける
3 ハチにもできる
4 そのさきを考える
5 人間のように感じるとは
6 証拠のバランスをとる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茶幸才斎
2
高度な記憶、学習、判断力を持つ動物にも、意識はあるのか。生得的でも経験則でもない、新たな状況に対応する思考、そして喜びや苦しみの感情の発露を、彼らもなすのか。難しいテーマに対し、最も懐疑的な読者をも念頭におき、多くの研究事例を示しながら慎重に論を進めている本。大変興味深いが、ヒトの意識は、それ自体が実在し、何らかの機能を持つというより、中枢神経系の自発的な電気化学的活動の総体が、個体自身にはそのように知覚されるだけのものだと思う。動物に関しては、それは単なる程度問題だろう。心理学を否定するものではないが。2016/03/09