出版社内容情報
ダニエルの誰にも言えない秘密。数字の4や6は書けもしないし、寝る前に儀式と呼んでいる作業を繰り返さないと不安で寝られません。OCD(強迫性障害)の経験がある作者の実体験をもとにした「2017年エドガー賞児童図書部門」受賞の話題作です。
内容説明
使ったあとの綿棒そっくりなぼく、ダニエル13歳。アメフトはへたすぎて控えのキッカー兼給水係。勉強は得意だけど書けない数字がある。気になる女の子もいるけど見つめるだけ。寝る前に「儀式」を2、3時間する。しないと死んじゃうから。ぼくはヘンだ。でも、だれにもいえない。2017年エドガー賞児童図書部門受賞。
著者等紹介
キング,ウェスリー[キング,ウェスリー] [King,Wesley]
カナダの作家。オンタリオ州オシャワ在住。『ぼくはO・C・ダニエル』で、2017年エドガー賞児童図書部門受賞
大西昧[オオニシマイ]
1963年、愛媛県生まれ。東京外国語大学卒業。出版社で長年児童書の編集に携わった後、翻訳家に。『ぼくはO・C・ダニエル』が翻訳デビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
55
YA。気の合う親友、試合には出たくないけどアメフトの補欠でも気にならない放課後、好きな女の子と目が合うだけで幸せな毎日を過ごす、一見普通の少年ダニエルには誰にも知られたくない秘密があった。それは「ザップ」があること。悪いことが来る予感に支配され、自分ではコントロールができない反復行動をやり続けてしまう。特に寝る前の「儀式」は重要で、ダニエルは毎晩恐怖で泣いていた。ある日、変わり者の同級生サラから話しかけられ、ダニエルとサラは特別な「スター・チャイルド」の仲間だと告げられる。▽強迫性神経障害(OCD)2019/11/01
まる子
24
13才のダニエル・リーは「ザップ」と名付けた自分にしか聞こえない呪いの(ような)声が聞こえる。だから、寝るまでや他の事に時間を割かれる。そんなダニエルには、サラと言う同級生がいる。彼女はパニック発作とうつ病を持ち、その母親にも色々と。あるとき。ダニエルは自分が「強迫性障害=OCD」である事を本で知った。これは著者のウェスリー・キング氏が20代まで苦しんだ自分の経験から書かれた本。訳者はダニエルのように精神的障害に苦しんでいる人に「自分だけではない」「理解してくれる人がいる」と、希望になれば。と。2024/02/04
Imax
22
児童書だけど、読みごたえがありました。誰にも相談できず、一人で自分は普通じゃないんだと悩み続けていたダニエルに心が痛んだけれど、サラと出会えて本当によかったね。作者の実体験ということで物語に説得力があったし、感情移入してしまいました。この本を読んで、初めてOCDという症状で悩んでいる人がいることを知りました。そういう人達がいることを知り、その人達の苦しさがちょっとでもわかって、読んでよかったなと思いました。ダニエルと同じように悩んでいる子達に、かつて同じ症状で苦しんだ作者の思いが伝わったらいいな。2018/09/11
あみやけ
16
実は、先日、ビブリオバトルの大会に出て、この本に負けました。それで読んでみました。 とってもいい話ですね。ダニエル、とってもいいです。 そして、僕も少しOCDのところがあるかもしれないなって思いました。自分を知る、そして、それを認めて、それを解放するって大切ですね。2018/08/31
ぽけっとももんが
11
ダニエルは強迫性障害であり、それを隠している。彼がそれをうまく隠しおおせていなければあるいはもっと早く楽になったのかもしれない。彼一人が特別に異常ではないと知ることができただろう。ともあれダニエルには「クールランク」のマックスという親友がおり、やはり同じクールなライヤにも好感を持たれ、苦手と言いつつ成功の象徴であるアメフトで結果を残す。そして彼の本質を見抜くサラの存在は、やはり天啓か。サラにはなぜダニエルの抱えた問題がわかったのか、そして彼とだけは話ができるのはなぜか。ミステリ部分よりこっちが気になるわ。2018/06/09