エブリシング・イズ・イルミネイテッド

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  • サイズ B6判/ページ数 406p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784789724135
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

冒頭から結末までの語り口が異彩を放つ。ジョナサンの思いは、お供であったアレックスに送る、旅での経験を小説仕立てにした文書となり言葉にされ、物語の語りの一角を占める。一方のアレックスの語りは、ジョナサンへの返信としての手紙と、独自の観察眼による手記というふたつの形式が用いられている。ことにアレックスの語りには、誤った語法や言葉遣いで演出される独特のおかしさがともなう。しかし、そうしたムードが漂っているからこそ、祖父の過去に触れる場面など、シリアスな部分の哀れみが助長される。「ユーモアだけが、悲しい話を真実として伝えられる」といった件が小説の中で出てくるが、アレックスの語りこそが、それをなぞるもののように思えてくる。十八世紀から第二次大戦時、さらには現代と、時代の壁をいとも簡単に超えてしまう巧みに構成された小説スタイルは、謎が謎を呼ぶ神秘性を帯びた物語を生み、ひとたび読み始めたら、その人間の心をつかんで放さない魅力を持つ。ガーディアン新人賞受賞。

著者等紹介

フォア,ジョナサン・サフラン[フォア,ジョナサンサフラン][Foer,Jonathan Safran]
NY、ブルックリン在住の27歳。ワシントンD.C.で育ち、プリンストン大学に入学、哲学を専攻した。同大学の教授で著名な作家でもあるジョイス・キャロル・オーツの薫陶を受けた後、小説を本格的に執筆するようになる。卒業後、数々の仕事を経て、1999年にウクライナを訪れたことをきっかけに、『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』を執筆。デビュー作である『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』は、ガーディアン新人賞を受賞、ベストセラーになった。現在、2作めの小説を執筆中

近藤隆文[コンドウタカフミ]
翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

67
自分探しの旅にやって来たアメリカの作家志望の若者と、彼のガイド役だったウクライナの少年アレックス。アメリカ人の祖先の話は、一見軽やかな小説の見せかけに似合わないシリアスさで、人間の残酷さや戦争の悲惨さが生む悲劇を描き出している。だが彼がユダヤ人だということから、その内容がある程度想像できてしまうため、だからこそ、作者は、英語初心者であるアレックスのトンチンカンな文章や、若者が書く寓話的な物語で残酷さの緩和しようとしたのではないだろうか。そして、この内容にこの題。そこに、何とも言えない作者の思いを感じた。 2018/04/15

みねたか@

32
舞台はウクライナ。アメリカにあこがれるアレックス。ルーツを探しにやって来たアメリカ人ジョナサン。二人の青年とアレックスの祖父によるカタコト英語とおんぼろ車の旅。始まりはドタバタロードムービー。やがて18世紀末と第二次大戦期の愛の話を媒介として,物語は透き通るような美しさと生きることの悲しみを湛えていく。最後にたどり着いた悲劇にそれぞれが人生を賭して対峙する姿を描き切った。若い作家の荒々しさと瑞々しさがぐいぐいと惹きつける素晴らしい作品。2019/09/17

二戸・カルピンチョ

27
今でもジョナサン・サフラン・フォアはこの手法を使っているのだろうか。私はコミカルな部分を一向にコミカルとは思えず、どのパートにもどんなに手を尽くしても塞ぎきれない苦悩の穴を読み取るしかなかった。神があったとしても信じない、か。2019/03/24

星落秋風五丈原

22
【ガーディアン必読1000冊】著者と同姓同名の登場人物が作家として登場する。ガイド役に雇われたのは主人公の祖父。ウクライナが出てくる。2022/07/10

ミツ

19
自身の過去を探し、記憶をたどり、真実を明らかにする、これはそんな物語である。しかしその語り口は決して一筋縄ではいかず、祖父の過去を探るためにウクライナへ来たユダヤ系アメリカ人ジョナサンによる創作と、現地ガイドのアレックスによるブロークンな手紙と手記が入り乱れ、200年もの時を遡ったかと思えば箴言集となり文法的に破綻した(故に笑いを誘う)文章が続くなどその様相は混迷を深めてゆく。錯綜する文章と、意味から遊離した言葉、繰り返される強い否定。語られなかったこと、あらゆる言語を絶した先にこそ、愛はあるのだろうか。2015/12/30

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