出版社内容情報
社会的<現実>は人々の知識の産物であり、人々の<知識>は社会的現実の産物である。知識と現実とのこの弁証法的な関係に<社会的なるもの>の核心をとらえ、現代社会学の底流を方向づけた世界的名著。
内容説明
知識と現実の弁証法的な関係に“社会的なるもの”の核心をとらえ、現代社会学の底流を方向づけた画期作。
目次
序論 知識社会学の問題
1部 日常生活における知識の基礎(日常生活の現実;日常生活における社会的相互作用;日常生活におけることばと知識)
2部 客観的現実としての社会(制度化;正当化)
3部 主観的現実としての社会(現実の内在化;内在化と社会構造;アイデンティティ論;身体とアイデンティティ)
結論 知識社会学と社会学理論
著者等紹介
バーガー,ピーター・L.[バーガー,ピーターL.][Berger,Peter L.]
ニュー・スクール・フォア・ソーシャル・リサーチ大学院
ルックマン,トーマス[ルックマン,トーマス][Luckmann,Thomas]
フランクフルト大学
山口節郎[ヤマグチセツオ]
1940年大阪に生まれる。1963年名古屋大学文学部卒業。東京大学大学院社会学研究科を経て、現在、大阪大学大学院教授
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感想・レビュー
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coaf
5
現象学らしさはほとんど感じなかった。哲学と社会学の間くらいの位置付け。僕としてはもう少し哲学寄りのミクロな議論だったらありがたかった。理論社会学の本ではあるけれども、学術書といった趣はあまりない。軽く読める。これまでの社会学を総合して一つの体系に収めるような試みがなされている。2013/09/15
あまん
4
「construction」は客観主義に対置する考えだったか。本書は客観的社会、主観的社会、そして結論という構成だ。客観的と言われる概念が存在している社会に、生まれて生きる私たちが、どのように主観的な観念を身につけていくか。それは、第一次的社会化と第二次的社会化の二つに分けられる。第二次的社会化では、より客観的社会に順応することが求められる。「身体とアイデンティティ」の章は、言語化できないことを言語化してくれている。生物学的なものと社会的なものが、お互いに影響を与え、弁証法的に止揚されるということだ。2021/12/25
アルパカさん
3
現象学的社会学の古典。現実は日常的な知識(つまり言語の体系)によって作られるとするのが基本的な視点。ただし著者は現実と主体の相互構成的な側面を明示的に主張しており、このことが単なる思弁的な構築主義に陥ることなく本書に現在的な価値を保持させ続けている。ここから言語中心性と二分法を取り除いたら、最近流行りの存在論にそのままつながりそう。2018/01/10
まあい
2
個々人の集合(つまり主観の集合)でしかないはずの社会が、いかにして「客観的現実」になるのか。この問いに対する理論的説明がなされている。制度や価値観などがどのようにして構築されていくのか、また個々人のアイデンティティがどのようにして社会によって構築されているのか。アイデンティティになることが可能なもの、としてある属性が認識されなければ、アイデンティティは構築されない。という指摘が示唆的だった。2017/09/27
富士さん
2
構築主義者の聖典。読み直して本書の偉大さを再認識して、感動に打ち震えました。社会というものは、人によって作られ、人を離れて存在し、人を作り、人によって作られ、人を離れて存在し、・・・。という過程を繰り返す動的な存在である、というのが肝です。この社会への認識のみで、自我、行為、集団、制度が人の自由意思によりながら同時に有無を言わさず強制され、その関係には雑でムラがあっても、真理のように強く人を縛るということを簡潔に説明できるのです。本書は社会学の構築主義的構成とも言える総合もなし得ているように思います。2016/06/06