出版社内容情報
小・中・高・大学と、進学するたびに成績を伸ばす人がいれば、子供時代に秀才とうたわれたのにだんだん尻すぼみになってしまう人もいます。職場でも、昇進のたびに業績を伸ばす人もいれば、上級職につくとそれまでの能力を発揮できなくなる人がいます。それは、その人に能力がなくなったのでも 努力が足りないのでもなく、第三の要因である「思考スタイル」が、うまく学業や仕事の要請と合わなくなったからです。では、この思考スタイルとは何か。あなたの思考スタイルは何か。それはどう働くか。性格や知能やEQとどう違うか。
思考スタイルというのは考え方の好みのことだ。能力ではなくて、能力の使い方をさしている。私たちは「一つの」スタイルをもっているのではない。複数のスタイルの〈プロフィール〉をもっている。能力的にはほとんど同じでも、スタイルはまったくちがうかもしれない。社会は、同じ能力を持っている人をそのように見るとは限らない。むしろ、その場面で期待されているスタイルと一致するスタイルを持つ人が、能力が高いと判断される。そこで発揮されているのは能力ではなくて、その人のスタイルと直面している課題とがたまたま上手くあっていたからだ、という事実は問われないのだ。(本文より)
書 評
「本書ではスタイルを機能、形態、水準、範囲、評価といった角度からいくつかの型に分類し特徴を示す。…中略…自身のスタイルと能力とのバランスについて考えさせてくれる本でもある。」(日本教育新聞 2000.2.18)
内容説明
同じように有能な社員が、管理職になって差がついていくのはなぜか?能力もあり努力もするのに、学校でうまくいく生徒とそうでない生徒がいるのはなぜか?「思考スタイル」にはどんな種類があるのか、思考スタイルをどうやって測定するのか、学校や職場、日常生活で「思考スタイル」にどう配慮したらいいのかを知能研究の大家がくわしく述べた、あなたの能力を生かすための本。
目次
1部 思考スタイルの性質(思考スタイルとは?―思考スタイルを取り上げるわけ;思考スタイルの機能―立案型、順守型、評価型;思考スタイルの形態―単独型、序列型、並列型、任意型;思考スタイルの水準、範囲、傾向―巨視型、微視型、独行型、協同型、革新型、保守型)
2部 思考スタイルの原理と発達(思考スタイルの原理;思考スタイルの発達)
3部 学校と研究・理論における思考スタイル(教室での思考スタイル―何がわかったか;スタイルに関する理論と研究小史;なぜ心的自己統治の理論なのか?)