新曜社認知科学選書
人を賢くする道具―ソフト・テクノロジーの心理学

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  • サイズ B6判/ページ数 397,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788505803
  • NDC分類 504
  • Cコード C1011

出版社内容情報

 人を助け賢くするのではなく,人を悩ませ無能にする機械や道具がなぜ氾濫するのか。人間の認知や動作の特性を読み込んだデザインとは何か。アップル社心理学者として著名なノーマン博士の『誰のためのデザイン?』『テクノロジー・ウォッチング』に続く第3弾。

 良いニュースがある。テクノロジーはわれわれを賢くしてくれる可能性をもっているのだ。実際、すでにそうなっている。人間の知的能力には限りがあり、覚えられることも、学べることもたかが知れている。だがわれわれの能力の中には、われわれの可能性を拡げる人工の装置 -- アーティファクト -- を創出する力がある。われわれが発明するものがわれわれを賢くしてくれるのだ。テクノロジーを利用すれば、より深く、より明快に考えることができる。正確な情報を入手する手段を得ることができる。同じところにいようと、距離が離れていようと、他の人たちと効率良く仕事をすることができる。書くことや読むこと、美術や音楽を生み出したことに乾杯。論理的思考の普及、事典と教科書の発明に乾杯。科学と工業技術に乾杯。…そう願いたいものだが。(「第1章 人間中心のテクノロジー」より)

 ・「学習評価研究」97.秋 特集「コンピュータと教育の関係を考える」荒井克弘氏評
 ・「デザインニュースNO.237」97 小池星多氏評
 ・「サイアス」97.3.21 米沢富美子氏評
 ・「本書は,特に人が知的創造活動を行なう上で有益となる道具のデザインについて重要な示唆を与えている。」(京都新聞97.1.19)

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 【関連書籍】
 『 日常生活の認知行動 』 J・レイヴ著 (定価3780円 初版1995を復刊)
 『 交通事故はなぜなくならないか 』 ワイルド著 (定価3675円 2007)
 『 人間この信じやすきもの 』 T・ギロビッチ著 (定価3045円 1993)

内容説明

なぜ、人を悩ませ、人を無能にする機械や道具が氾濫するのか?人を助け、人を賢くするための「ソフト・テクノロジー」への招待。

目次

第1章 人間中心のテクノロジー
第2章 世界を体験する
第3章 表現のもつパワー
第4章 アーティファクトを人間に適合させる
第5章 人間の心
第6章 分散された認知
第7章 ものには、それが収まるべき場所がある
第8章 未来を予言する
第9章 ソフト・テクノロジーとハード・テクノロジー
第10章 テクノロジーは中立ではない

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あちゃくん

42
インターネットが普及する以前に書かれた本だけど、これほどまでに現代にも通じる示唆が含まれていることに、単純にすごいと感嘆しています。2022/09/19

roughfractus02

8
designなる語はsignに接頭辞de-(脱する)が付されている。著者はデザイン的認知を他者のsignを受け取る内省モードと、それを脱する経験モードに分け、技術に面した人間が他者のsignに包囲されたままより高い経験モード次元に行けない状況を、ユーザビリティなる語に見出す。両モードは人間に必要不可欠だが、現在の情報技術は進歩の名の下に経験モード(蓄積、調整、再構造化)へのステップを踏ませない。それゆえ人間側からデザインを追求する著者は、マクルーハンの言葉に反対して「メディアはメッセージではない」という。2019/01/10

はや

5
第6章「分散された認知」がもっとも印象深かった。著者D・A・ノーマンは「問題を解決するためにテクノロジーは何ができるか」という問い立ては、ほとんどいつも間違った問い立てであると言う。世界にしかるべき構造を与える。これによってその構造が分散された知として機能する。角度を変えた表現では、知の担い手が世界と強固に結びついている状態が記憶や計算の負荷を減らしてくれると。言われてみれば当たり前だが、デジタルな世界のデザインにおいてはこの観念は見逃しやすいと思う。私自身の仕事に活かしたい。2015/09/23

わすけ

2
人間は自身の可能性を広げる機械を作り続けてきたが、人間はいつしか機械中心の態度をとるようになってしまった。人間中心のデザインはどうあるべきか、というのが本書のテーマ。原著が20年以上前に書かれたというのが驚き。内容は現在でも十分通用するし、あるいは執筆当時より状況は悪化しているかもしれない。何かを作る際には、体験的認知か内省的認知か、どちらをより増幅するものなのかをよく理解してデザインすべきという主張には全く同意。操作に右往左往することが多いPC等が、思考を妨げない真の内省的機械になるのはいつになるかな。2015/07/08

noboov

1
人の為の機械なのに機械の為に人が。超ー簡単に表すとそういう事かな?機械が人の暮らし、更に考え方、基準まで変えてしまうという事への警告と捉えました。便利の先にある気をつけなければいけない落とし穴。という事でしょうか?内容には関係ないですが、本における注釈に入れ方。というのは確かに悩ましいです。後、訳が少し読みにくかった。2012/12/19

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