出版社内容情報
人はなぜ財を求めるのか? 高名な人類学者がこの問いに正面から取り組み,さまざまな異文化における消費行動の解明をとおして従来の経済学理論・消費者行動論ではつかみ得なかった事実とその解釈を明らかにする。
商品の取引は悪評を買い、所有には罪悪感がつきまとう。この本の背景になっているのは、消費社会に対するこうした抗議の叫びの高まりである 。コンシューマリズムは貪欲で愚鈍、そのうえ、必要とは何かということに無神経だとして酷評される。毎月新しい本が出て、過大消費やその俗っぽい虚飾を非難する。では一体どうしろというのか。…中略…まず、消費の観念そのものを社会的過程の中に埋め戻すべきであり、それを活動の結果ないし目的としてみているだけではいけない。消費は、労働の動因に根拠を与えるのと同じ社会システムの、分かち難い一分枝と見なされるべきであり、それ自体、他の人々と関係を結び、また、そのための媒介となる物質材を用意するという社会的必要の一部なのである。(本文「序」より)
第一部 情報システムとしての財
第一章 人はなぜ財をもとめるか
第二章 人はなぜ貯蓄するか
第三章 財の使用
第四章 排除、侵入
第五章 消費の技術
第六章 消費の周期性
第二部 社会政策上の合意
第七章 民族誌における分離された経済諸領域
第八章 国際比較
第九章 消費諸階級
第十章 価値の制御
原 注/訳者あとがき/索 引
原題:The World of Goods