内容説明
近年、最高裁が性犯罪に逆転無罪判決を下す事例が相次いだ。それはなぜなのか。裁判官は「女性は逃げられるはず」などといった「経験則」を固守するが、本書はその決定的な誤りを指摘し、被害者救済の整備や司法官への教育など、性犯罪に関する具体的な対策を提言する。
目次
序章 近年の性暴力事情と逆転判決の衝撃
第1章 逃げられない被害者
第2章 身体に痕跡は残るのか
第3章 通報と告訴―なぜためらうのか
第4章 記憶と神話―被害者が陥る心理、被害者に対する予断
第5章 一一年判決の基本原理―「経験則」と「疑わしきは被告人の利益に」
第6章 司法官の性意識を生むもの
終章 改革そして展望―性犯罪のない社会を
著者等紹介
杉田聡[スギタサトシ]
1953年、埼玉県生まれ。帯広畜産大学教授(哲学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新橋九段
3
想像以上にひどい判決だった。ただ結構関連する本を読んできてもまだ知らないことが多かったので、性犯罪を理解するのは難しいと改めて思った。2018/06/11
てくてく
3
千葉で発生した性犯罪について最高裁が無罪判決を下したことへの批判に基づき、性犯罪の被害者が何故逃げられないのかを説明した一冊。裁判官の用いる「経験則」が科学的根拠に基づかないこと、実際に被告人・被害者を前にせずに判決を下す最高裁の不適切な判断が判例となってそれ以降の事件に適用される可能性を指摘している。2013/03/09
宵子
0
無意識に広がる男尊女卑の常識が、どのように性犯罪被害者を苦しめているのかを書いたもの。犯罪例は見知らぬ加害者であることが主である。ちなみに性犯罪者の動機は異常性欲ではなく、支配欲の方が近い。でも、このことはあまり知られていない。2013/10/21