出版社内容情報
私たちが組み込まれている世間とはいったい何か? ムラ的共同体としての世間、近代法と「世間の掟」の二重構造、対人恐怖にみられる世間の影響、作家と世間の関係など、私たちの日常生活と世間とのかかわり方を検証し、〈生活世界〉の構造を解読する論考集。
まえがき 阿部謹也
第1章 世間と差別 阿部謹也
1 ヨーロッパの個人と日本の個人
2 日本を貫く二つのシステム
第2章 「水」の構造――世間における紛争解決の手段 瀬田川昌裕
1 「水」の構造
2 「世間」のなかの「水」
3 「水」の機能障害――蒸発と凍結
第3章 いま、なぜ世間なのか――戦後日本における経済社会構造の変容から 田中史郎
1 「社会」と「世間」
2 戦後日本における「社会」と「世間」
3 いま、なぜ「世間」なのか
第4章 「中間的」共同幻想としての世間――わが国における対人恐怖の解明を通じて
佐藤直樹
1 対人恐怖の根底には世間がある
2 世間では「配慮」を強いられる
3 独特の競争社会としての世間
4 「中間的」共同幻想としての世間
第5章 法学における社会と世間のあいだ――法世間学序説 瀬田川昌裕
1 どこにもある「世間」
2 世間の構造と機能
3 世間の掟
4 法世間学の可能性
第6章 世間主義の思想――三重県下における初誕生儀礼をめぐって 近藤直也
1 三重県下における初誕生儀礼
内容説明
「社会」との比較で、前近代的・非資本主義的・集団的・縁故的な人的ネットワークとされる「世間」。このネットワークは、日常生活に深く浸透している空気のような存在であるために、その実態の分析・解明は放置されてきた。しかし「世間の目」「世間体」という言葉に端的なように、われわれの生活・思想を規制するシステムとして、ときには差別的・暴力的に機能し、多くの弊害や軋轢を生みだしている。差別、経済構造、紛争解決の手段、日本語と美意識、日本の作家、対人恐怖、初誕生儀礼、異文化交流などの日常的・具体的な事例をキーワードに、その背後にある「世間」というシステムとわたしたちとの関係・構造を根底から捉え返す。
目次
第1章 世間と差別
第2章 「水」の構造―世間における紛争解決の手段
第3章 いま、なぜ世間なのか―戦後日本における経済社会構造の変容から
第4章 「中間的」共同幻想としての世間―わが国における対人恐怖の解明を通じて
第5章 法学における社会と世間のあいだ―法世間学序説
第6章 世間主義の思想―三重県下における初誕生儀礼をめぐって
第7章 ネパールの山村における社会、世間生活―NGOの経験をとおして
第8章 俳句とハイクと世間―西洋における俳句受容の一端から
第9章 わが国における作家と世間―日本における生活と思想の問題性
著者等紹介
阿部謹也[アベキンヤ]
1935年生まれ。共立女子大学学長。専攻は西洋中世史
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