内容説明
潔く、そしてかぎりなく優しい詩の恩寵が、ついに訪れる。終わることのない生への晴れやかなレクイエムと、たしかな刻を誌す、のびやかなことばのリズム。『世間知ラズ』以降、10年ぶりの詩集、ついに刊行。
目次
襤褸
小憩
部屋
拒む
手足
座る
影法師
そして
あるがまま
葉書
水
嘆く
夜
静物
窓
歌
真昼
小石
顔
羊水
ふふふ
寝床
私
血
ひと日
味
冬
泥
花弁
こうして
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
51
この本の前に、「虚空へ」を読んだ。そこに書かれていたのが、「虚空へ」は、この「minimal」へのアンサー詩集のようであるということ。それで、読んでみた。三行というか、三つの言葉からなる塊による、一連の詩。これまで読んだ谷川俊太郎さんの詩とは、趣が異なる。どこか、沈んだような、静かなエネルギーを感じた。人の営みの中では、そんな時期もあっても不思議ではない。読めば読むほど、味わいが滲み出てくるような1冊。2022/01/10
新田新一
13
ひさしぶりに谷川さんの詩集を読みました。谷川さんと言えば、私が子供の頃から活躍している詩人というイメージがあります。それから40年以上もたって、いまだに第一線で詩を書き続けておられることに、尊敬の念を持たずにはいられません。この詩集は凝縮した表現を使い、生の根本のところにあるものを描いている気がします。英訳が添えられているのが、この詩集の良さです。日本語と英語はまったく違う言葉なのに、英訳しても不自然さは感じません。それだけ谷川さんの書く言葉には、普遍性があるのだと思いました。2023/11/15
風花 kazahana
8
谷川俊太郎さんの詩集 「虚空」のあとがきからチョイス。そこに三行の詩とあったので 私は三行だけの詩と思い込んでいましたが 三行で一段落という意味でしたね。詩というものを 理解しようと この本もまた繰り返し読んでみました。心にすっと落ちるような言葉がいくつかありました。この言葉のあとに この言葉。詩集を読むということは そこにたどりつく詩人の感性を感じるものなのでしょうか。詩とは、と言えるほどのものがない私ですが たまには浸りたい世界です。「夜明け前に 詩が 来た」から始まる詩集です。2022/05/08
新谷 華央里
5
絶版なので古本で入手しました。英訳付きの行脚の短い三行一連の詩たち。谷川俊太郎さんにとってはこの詩形は"minimal"、最小限で、饒舌から沈黙に一旦リセットして再出発したかった時期にはちょうど良かったみたい。シンプルで凝縮された詩のなかにどこまで内容を損なわずにことばを削ぎ落とせるかという谷川さんの挑戦がほとばしっているのを感じる。英訳も「そう解釈するのか」と勉強になった。俳句や短歌を詠む人が読むと良さそう。インスパイアされて短歌の種が生まれそう。再版を望みます。2020/08/24
午後
3
読んでいてパターソンを思い出した。短い言葉でしか、描けないものもあるのだろう。2020/05/03