内容説明
憎しみと報復に覆われた世界に生きるための賢慮を捜して詩作という討たれの旅路をつづける詩人。終りなき旅の最中に訪れる束の間の眠り―立眠。その眠りの中でかいま見られたものとはなにか。扉を叩こうと、そこに立ちつくしているのはだれか。
目次
賢慮、生きる流浪とは―二十一世紀を克服するために
立眠
戸をたたく歌
遭遇こそ
いきずりの「知床岬」は三つ在る
楔形の駅にて
ホメロスの莢のなかの豆
カイロ、ヒルトンにての「聖隠」
鯀
イエスの背中を透して
新グノーシス
半島
既存イスラム
カルト
ルバイヤート・テロ
ヘンドリコフ横町の殺人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Futta
1
「いったい この時間は 何んだったんだろう/戦争があったのですよ 多くの戦争が/人がつぎつぎに消えたのですよ 多くの知識人や詩人が/エスペラント語が生まれたのですよ 悲劇の言語が/革命とか それにつらなる「愛」とか/その偏情は 空港の清掃婦が せっせと片付けている/ウクライナのザポロージェ・コサックの由緒がきも 紙屑にまるめた」(「ヘンドリコフ横町の殺人」)。長谷川龍生。間違いなく巨星であったと強く思う。その魂が、安らかにあらんことを祈る。2020/02/15
岡部淳太郎
1
後期長谷川龍生の最高傑作。2003/10/21