内容説明
マルメラは小さな箱をみつけた。カンザスには古い河があったろう、そこで箱の中身は仔犬の魂だった。父は仔犬を見ると必ず「のらくろ」と呼んでいた…おまえはヘミングウェイを知っているか。僕は16歳で知った、ジョン・ウェインの親戚だ。マルメラもその頃知った。マルメラマルメラと教室で騒いでいたがそいつがマラルメだと気づいてどうでもよくなった。そんなへんな名前のやつはカンザス、カンザス、唾の詩、詩の唾…アレフのよだれが詩集『SUMMERTIME』からSの文字を消した。以後『アマータイム』と呼ばれるサタンの書には緑色の血が染みつくことになる。トッゲ・ド!ストゴド!90年代以後の現代詩の命運に立つ松本圭二の問題作。