内容説明
既刊詩集の全て、数多くの未刊詩篇を収録。主要詩論、クリティック、エッセイなどを収録。多彩な書き下し作品論、詩人論を併録。
目次
詩集「花のもとにて・春」から
詩集「ブラックバードを見た日」から
詩集「樹たち・猫たち・こどもたち」から
詩集「新編 花のもとにて・春」から
詩集「発光」全篇
未刊詩篇
ノート・他
作品論・詩人論
著者等紹介
吉原幸子[ヨシハラサチコ]
1932年、東京生れ。東大仏文科卒。演劇に熱中して劇団四季に入団、主役を演じる。その後第一詩集『幼年連祷』(1964年)で第四回室生犀星賞受賞。一貫して、虚飾を排した純粋な語法とリズムで人間の愛と孤独の倫理を歌い続けた。詩集『オンディーヌ』(1972年)、『昼顔』(1973年)で第四回高見順賞受賞。1983年には新川和江とともに雑誌「現代詩ラ・メール」を創刊、1993年の終刊にいたるまで多くの女性詩人を輩出した。『発光』(1995年)で萩原朔太郎賞受賞。2002年11月28日歿
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感想・レビュー
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sk
6
母親の病と死について書いた作品が痛切である。端整で簡潔、要を得たハンサムな詩が多い。2016/09/04
misui
5
母親の死を経験してからはほとんどの詩に死が透けて見える。見送らなければならないものの多さ、そして自らもその連なりの中にいることに呆然としつつ、存在の哀しみが平易な言葉で記される。「死とは」「生とは」みたいな詩って説教臭くなったりするものだけど、この人の場合はそれがあまり感じられなくてストレートに胸に入ってきた。そっけないまでの平易さが実感を確証しているというか、今生きているどうしようもなさの肯定がたしかにある。「わたしたちは孤独であり 孤独ではなかった」(「落雷」)2015/01/03
景太
0
二人で砂の城を築くのが恋のしるしだとすれば、その城が波に攫われてからも思い出を共有できることが、愛の証しではないか。「恋のあとの季節」を読みながら、そう思った。吉原幸子さんの詩行には、つねに思索の可能性がひそんでいる。2019/08/08