感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
5
なにか定かではないものの細密描写を読んでいくうちに自分は何を読んでいるのかという問いを宙吊りにされ、詩の中で方向を見失うとともに詩の外形自体もあやふやで確定できない。硬すぎるほど論理的な記述で成り立つそれは、現実の世界に働くものをなぞっているように見えて実はありえない論理にはぐらかされている。そのありえない論理をあらしめる幻想の構造図とでも言おうか。しかし記述があまりに込み入っており、金井美恵子の解説が及び腰なのにも同情してしまった。はまる人はとことんはまりそうな現代詩らしい現代詩。2015/01/08
sk
1
論理の詩に対する有効性を指し示す。2009/07/19
0
再読。論理的な緻密な描写を累進させることで全体の曖昧化と「外部」(=「異界」)の出現を目論む。例えば、安西冬衛などのモダニズム的な密室主義、入沢康夫の「詩は表現ではない」、海外で言えばヌーヴォー・ロマンの小説(=物語)の解体を挙げればいいか。ほとんど読んでいると息苦しさを感じるほどだが、だんだんとそれが気持ちよくなってくるのも不思議だ。面白いと言えば面白いし、好きな人がいるのは理解できる。2021/11/13